2017-08-24 Thu
さて、これから中高一貫の1期生が卒業する、前回取り上げた共学校4校。
中学新設の八王子学園八王子を除くと、
共学化の前年の受験者数は3校で600名ほど。
それが4校で4600名を超えているわけですから、
受験者数の中に「重複」が含まれるにせよ、
かなりの人気過熱ぶりと言えます。
「時代は共学校」…これは公立中高一貫校が増えたことも
背景にあるのかもしれません。
特に東京では伝統の中高一貫校=男子校・女子校ですから、
共学の進学校=新興勢力、ニューウェーブとなるわけです。
広尾学園の進路実績急上昇は間違いなく追い風になっていると
みます。
そんな共学校人気の歪みがどこに出るのか。
ひとつは女子校人気の低下。いまに始まったことでは
ありませんが、募集困難校はどんどん拡大する傾向にあります。
だからといって、女子校が共学化するだけで成功するわけではないのは、
これまでにブログに書いた通りです。
さらにはこうして人気を集めている共学校の間でもシビアな
競争が発生しています。
もっと言えば今回の4校の間でも、実績が未知数にもかかわらず、
早くも差がつき始めているようです。
安田学園は2017年春に高入生の共学化1期生が卒業しました。
共学化初年度は男子239名、女子133名、計372名の高入生が入学し、
前年の高入生男子118名から大幅増となりました。
しかしながら進路実績は
国公立大、早慶上智、MARCHで、
6.9%、13.4%、42.1%→2.5%、3.9%、22.6%と半減。
難関大実合格者数でも前年を上回ることはできませんでした。
今後、高校募集を主力に進行するなら、そこまで大きな影響はないかも
しれませんが、共学化して中高一貫生も倍増していますから
これは心配な結果です。
ちなみに2017年の中学募集定員は152名。前年も同様です。
安田学園の場合、高校では一貫生・高入生は別クラスで
それぞれ2ライン、3ラインにクラス分けされています。
最上位クラスの人数は一貫生・高入生合計で50名強。
全体人数の2割まで届きません。
また共学化前年の2013年から、中学募集も
先進・総合の2ライン募集になりました。
先進は1クラスないし2クラス、総合は3クラスないし4クラス。
学校側は人数比1:3から徐々に1:2に近づけようとしています。
クラス分けのスタイルはともかく、進路実績をじっくり伸ばそうと
考えているようにも思えます。
それでは八王子学園八王子はどうでしょう?
中高一貫1期生の卒業は2018年ですが、その直前の進路実績は
国公立大、早慶上智、MARCHで、
3.5%、5.2%、32.8%。
1学年500名前後の規模の学校ですから、高入生のみで
MARCH30%台は健闘していると言えます。
ただし、ここ3年は自己ベスト更新がないようです。
一貫1期生に期待がかかるところですが、
2018年の卒業を前に、募集状況はどう循環しているでしょうか。
2015年までは中学募集定員105名のうち特待生選抜30名募集を
2/2午後に設定していましたが、2016年から東大・医進と
改称、2/1午前、2/1午後、2/2午後で計35名というスタイルに。
どこかで聞いたことのあるネーミングです。
栄東+広尾学園÷2(笑)。
東大・医進はすべて特待生とのことですから、一貫特進2回
に対して特待選抜が3回、というわけです。
結果として2017年は全受験者の85%が東大・医進狙いでした。
受験生も特待合格なら…という心理状況なのでしょうが、
特待を得られる期間をしっかり把握しての
受験なのでしょうか。これも心配です。
手元には2014、2015年の特待選抜の合格者入学予定状況が
ありますが、それぞれ6/36,18/44ですから、
ネーミング変更後も、
募集定員35名まで特待入学レベルが揃うことはなさそうです。
2017年の中学入試結果を見ると、
東大・医進志望者もほとんどが一貫・特進でスライド合格
していて、3回の東大・医進入試もスライド合格まで
含めると、競争倍率はそれぞれ1.11倍、1.06倍、1.08倍。
さて、2015年から高校のクラス編成が変わり、
中高一貫生は別クラスで最上位クラス(3クラス)、
高入生はアスリートクラスも含めた5ライン構成。
高入生は最上位クラスから順に11クラスが
2、4、2、2、1(アスリート)となりますから、
最上位クラス+3クラスで、全体実績がどれだけ上昇するか
まったくの未知数と見ます。
結局、新設共学進学校同士がせめぎあって、受験生が毎年
大きく流動し、1期生卒業までのわずかな?時間でも
一貫生のレベル維持が難しい状況になりつつあります。
またそれだけ2015年スタートの2校が強力に
追い上げているとも言えます。
次回も引き続き、後発の学校が受験生を引きつける、
そして追い越す、戦略について考えてみようと思います。
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