2017-07-20 Thu
進路実績の失速パターン。単に難関大合格者数の減少、という結果だけの問題ではないような気がしますね。
きょうの学校は系列小のある学校ではありませんが、
その学校としての原形から数えると創立140年を超える伝統校ですから、
もしかしたら伝統は武器であると同時に弱点になってしまう可能性も
あるのでしょうか。
そして大変間が悪いことに入試の改革が同時に行われ、それが受験生に
アピールしなかった年の実績がよくないというダブルパンチになってしまったわけです。
東京の女子校・跡見学園。
2009年には3回の入試で1000名を超える受験生を集めていましたが、
2017年の入試では前年の744名から398名へとほぼ半減。
その理由を求めるとシンプルな入試が少しわかりにくいシステムに
変わったことにあるようです。
簡単に言えば、クラス編成を2ラインにするという改革なのですが、
名称がIクラスとPクラス。I=Independent,P=Principledの略だそうです。
これ説明を聞かないとわかりません。意図的にどちらが上位クラスか
わからないように命名しています。
スーパー特進と特進なんていうダサいネーミングをつけるわけがない、
伝統校のプライドを感じます。
こうした微妙なネーミングで改革を狙った女子校はほかにもあった気が
しますが、果たして成功していたでしょうか。
いずれにせよ、衝撃的な受験生減少で募集定員を確保しようとした結果、
実質倍率が1.1~1.0倍とぐっと下がり、首都圏模試の結果偏差値では
合格ラインが消滅してしまいました。
四谷大塚でも結果偏差値は38です。
そもそも2ラインでスライド合格ありのシステムは実質倍率を下げます。
上位クラスには不合格だったが、一般クラスには合格した層を安心させ、
再チャレンジを促す効果もあるわけですが、それは上位クラスに魅力を
感じることが前提です。
これも言い換えるなら、進路実績が伸びている状況で、より上位の
受験生を集めるというシチュエーションで効果があるのかもしれませんが、
単純にクラス編成に差をつけることで、上位生の関心が引けるほど
中学入試は簡単ではありません。
7年間推移でいうなら3カテゴリーで自己ベストが過去1回、近4年で
一度もベスト更新がない状況ではこうした改革もなかなかアピールしない
ということです。
学校が変わろうとする姿勢は素直に評価したいところですが、間が悪く
いわゆる「やっちまった」という状況のように思います。
また一部の保護者は跡見学園を付属校のようなイメージで
捉えているようですが、内部推薦の進学者は数%です。
推薦基準は評定3.2ですから、多くの生徒が資格を持っているはずですが
ほとんどが外部大学を受験します。
ところが跡見学園女子大への一般入試合格者は毎年、学年全体の4分の1
にあたる60名前後。
そして実際に進学するのは半数以下です。
それでも推薦進学より一般合格進学のほうが常に多い状況。
つまり跡見学園女子大は第一志望ではないが、第一志望に受からなければ、
跡見でもいい、という心理状況が見てとれます。
しかしながら、大学が外部進学がかなわない下位層を受け入れている
わけではないのです。大学にもプライドがあります。
中位層以上も系列の大学が逃げ道にあることで
難関大へのモチベーションが高まる状況が生まれにくいことが
理解できますね。
それにしても、
伝統校のプライドというのは、
OBOGが多いだけに実に扱いが難しいところです。
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