2015-10-04 Sun
10月1日更新記事の続き、後編になります。前回は現実として中学受験と高校受験のギャップ、東京・神奈川に特化して紹介しました。
ここのブログでモノサシにしている(進路実績)総合ランキングで、
完全中高一貫校の含有率は上位20校では80%が、上位21-50位では60%が、51-100位では42%が
高校募集をしていない学校でした。
↓こんなイメージ

中学を併設していない私立高校でここに食い込める数字を残しているのは国際基督教大学高校ぐらいで、
あとは数校が100位ぎりぎりにランクインできるぐらいのパフォーマンスになっています。
早慶などの付属校に入学して大学も完全私立志向を貫くのでなければ、
中学受験の失敗を高校受験で取り戻そうとするのは甘い考えだということです。
結局、「中学受験で失敗できない」→
でも無理をしても高めの学校にチャレンジして玉砕する→
高校受験で挽回せざるを得ない状況に陥る→
余計にプレッシャーがかかる
という悪循環の流れになるでしょうか。
でもよく考えると、ポイントは中学受験の段階でどこまでハードルを下げられるか、
ということなのです。
(当然、入れればどこでもいい、までは下がらないでしょう)
試技数とクリアする高さで駆け引きする陸上競技の走り高跳びにちょっと似ているような気もします。
もちろん中学受験には駆け引きするライバルがいるわけではなく、
受験生の将来への期待値と駆け引くわけですけどね。
また視点を変えれば、高校募集をしない完全中高一貫校は
「高校入試による生徒補充、質の確保の必要がない」学校だと言えます。
そしてもちろん中学受験のときにしかチャンスのない学校です。
もちろん一部には、高入生との混合によるプラスアルファの効果を見込む中高一貫校も
ありますが、(男子校では開成、本郷、城北、女子校で豊島岡など)
そうしなくても完全一貫校は学校としての伝統・文化が形成され、
相応の教育成果を残し続けている、ということです。
それに引き換え、千葉・埼玉ではそういうタイプの学校がほとんど存在しません。
中学があとからできた学校がほとんどだからです。
埼玉で浦和明の星女子が高校募集をしない存在ですが、
厳密な意味での完全中高一貫はこの学校だけです。
この学校も中学を新設して以降、高校募集を停止した学校です。
1都3県というくくりをした場合、中学受験への光の当たり方が東京・神奈川と千葉・埼玉ではまったく違う、
ということになります。
特に埼玉の私立高校では近年、在校生の学習面・進学面での質的向上を図る一環として
中学を新設してきたとも言えるでしょう。
中高一貫文化が根づいている東京・神奈川とは趣が異なるのです。
「高校募集のない完全中高一貫校」は志望校を比較するときに、無視できない要素なのです。
現実的には東京・神奈川生も試し受験として1月入試を視野に入れることが多いはずです。
千葉生も東京の2月入試を視野に入れるケースがあるでしょう。
こうなったときに「中高一貫」のメリットについてしっかり考えていないと、学校を選びそこなうことになるわけです。
偏差値が高い難関中学は当然、進路実績も優れている、と単純に信じ込んでいると、
思っていたような学校じゃなかったと、思わぬ落とし穴にハマることになりかねません。
あくまでタイトルだけかもしれませんが、「こうやって偏差値を伸ばした」という内容のブログを多く見かけます。
勉強法としてそれはそれ、方法論は多様だと思いますが、
中学入試でもしも偏差値だけを重視していると、失敗のスパイラルに陥っていくような気がしてなりません。
とにかく総合ランク100位以内の学校なんて、受かりそうな雰囲気がまったくない、
どう踏ん張っても偏差値50ははるか遠い、というのであれば、学校選びの観点はまた全然違ってくるでしょうが、
とりあえず、受験生全体の90%が中堅以上の学校の50~60%の定員を目指しているのが首都圏の中学入試だと
理解していますから、これらすべてを総合して「覚悟」なんだと思いますけどね。

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