2017-06-22 Thu
一昨日の記事で桐蔭学園を取り上げた際、男女比の変化について着目しました。男女募集ではあっても男子部・女子部と組織が分かれて
いる以上、その比率は五分でなくてもかまわないのでしょうが、
男女募集をしてる以上、女子人気の低下は看過することはできないでしょう。
その結果、長年、学園の独自性として推し進めてきた
男女別学のスタイルを廃止し、2019年の中学募集から
男女共学へと大きく舵を切ることになったわけです。
その募集規模等詳細については未公表なわけですが、
東京・神奈川にはほかにも男女別学、併学の学校があり、
この桐蔭学園の改革は何らかの影響を与えることは必至でしょう。
ここではあくまで進路実績上で表面化している変化を捉えて
問題点を推察するに過ぎないわけですが、この男女募集と男女共学の違い、
さらには同じ男女共学であっても、その内実の違いについて
少しフォーカスしてみたいと思います。
かつてかかわっていた年度版学校情報誌の中で、
共学校の男女比についてふれたことがありました。
このときは共学校であっても男子・女子のいずれかの比率が7割を超える
学校がある、と書いています。
男女比率が6:4もしくは4:6よりも偏っている共学校は珍しく
ありません。ある男子比率の高い学校の先生からこんな主旨のコメントを
もらったことがあります。
「中1時点では女子のほうが積極的なので、男女比が五分五分だと、
教員はハンドリングに苦労しますよ」
簡単に言えば、仮に男子の比率が高くても、男女の成長の差もあり、
バランスのとれた、フランクな雰囲気の学校生活を送れる、という意見も
よく聞くところです。
ただし、この人数差は入試時点の受験生から見た人気によって決まる
わけですから、その人気の差を学校がどう見ているかがポイントです。
男女平等に入試得点を判定して合否を決定し、男女比はあくまで結果。
そういう学校もあるでしょう。
そのいっぽうではできるだけ6:4程度までに差を収めたい。
そんな学校もあると思います。
今回取り上げる学校は、首都圏模試の結果偏差値によれば、
複数回入試で平均して2017年は4.7、2016年は7.3、2015年は5.3、
そして2014年は4、安定して男子の合格ラインが高い学校です。
つまり女子のほうが明確に受かりやすい学校です。
校名は神奈川の桐光学園。男女募集で男女別学の学校で、
高校募集も行う学校です。
国公立大の自己ベストは2012年の23.5%。
2017年春は17.0%。
早慶上智のベストは2014年の50.3%。
2017年春は38.4%。
MARCHのベストは2012年の112.8%。
2017年春は90.8%。
学年規模が大きく、変動幅は小さいので進路実績急落の印象は
ありませんが、7年間推移の「順位」で言うと
7↓=6↓=7↓となり、わずかな数字ながら
国公立大、早慶上智、MARCHとも3年連続の微減と
なっています。
総受験者数も2008年の1830名をピークに2011年以降は
4桁を割り、減少傾向で2017年は877名でした。
中1時点では男子6クラス、女子4クラスという編成ですが
高校時点では高入生を加え学年16クラスという規模になります。
志望大学ごとに文系理系に分かれるのは高2時点ですが、
その前の高1時点でいったんSA(特進)5クラス、
A(一般)10クラスに分けられます。
このとき高入生女子はすべてSAとなります。
つまり、高1では男子:一貫生SA=2クラス、高入生SA=2クラス
一貫生A=2クラス、高入生A=2クラス。
女子:一貫生SA=1クラス、高入生SA=1クラス、
一貫生A=4クラスとなり高入女子はすべてSAに所属します。
高2進級時にAクラスからも国立文系・国立理系クラスを希望することが
可能なのですが、高1時点で成績上位者が一度絞り込まれる
システムになっています。
進路結果と照合すると、特に早慶は女子の現役合格比率が低く、
また高入女子の現役進学率は一貫女子を毎年下回っているようです。
総合すると中学入試時点で合格ラインに男女差があり、
高入生女子は特に優秀な生徒を選抜するにもかかわらず、
最終的な進路実績は男子に追いついてこない傾向が見てとれます。
卒業時点の男女比は2:1ですから、これは他の共学校とは
異なる傾向だと言えるでしょう。
私学はその独自性にこそ価値があると思いますが、その
いっぽうで、受験生側の評価は時代によって移り変わります。
過度に受験生側の評価を意識すべきではないかもしれませんが、
学校サイトを見る限りは、目標設定と現状のギャップが
閲覧者に伝わってこないように意図されているように思います。
他校にも言えることですが、
男子10クラス中7クラス、女子6クラス中4クラスが
国公立大を目指すコースで、合格比率20%は決して高いとは
言えない数字です。確かに500名を超えるMARCHへの
実合格者数は目立ちますが、学校規模に対比して見ると
6年連続で同じ神奈川の山手学院を下回っているのが実際です。
男女別学かつ男女募集のスタイルが中学受験生はともかく、
高校受験生から敬遠されていく傾向だとするなら、
桐光学園のように男女別クラスかつ
高2で一貫・高入を混合するスタイルにこそ
バランスの悪さが潜んでいるような気がします。
多くの女子校が高校募集を停止したきっかけは、
一貫生・高入生のアンバランスを解消するためだったはずですから。
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