2015-08-01 Sat
受験情報誌の編集長をしていたときに何度も新聞記者からの取材を受けました。「首都圏の中学受験」というのは極めてニッチな市場でありまして、
その分野に詳しい新聞記者(一般的に教育分野担当としても)はまずいません。
経験上、ほとんどのケースが
「来年の中学受験はどうなりそうですか? どういう変化が起こると思われますか?」
当然ですが、簡単に答えられる質問ではないようです。
いったい新聞記者さんは何を聞きたいのだろう?
はい、記事の見出しになるフレーズを与えてほしいだけなんですね?
・付属校人気はどうですか?
・男子校と女子校ではどっちが人気がありますか?
うーん、そんなに簡単にカテゴライズして分析はできないんですよ。
一校ごとに人気が上下していて、共通の傾向って見つけるのは難しい。
「だいたいにおいて、少子化傾向は首都圏においては一段落していますが、受験者数、
受験率はわずかながらも低下しております」
そうですね、全然記事になりそうもありません。
ですから、新規開校の学校が人気を集めそうだとか、共学化したから受験動向が変わって
くるとか、そういう話にならざるを得ません。
毎年のように「前年と比べてどうですか?」と問われても、
つい「そうですねえ」と口ごもってしまいます。
そこで視点をちょっとズラして、たとえばこの10年間で受験状況がどうなったか、
俯瞰してみたらどうでしょうか。
ズバリ、二極化の進行が止まりません。生徒が集まらない学校は、どんどん窮地に
陥っています。
「学校ってよく倒産しないねえ」
受験者数が募集定員を下回っている学校はどの程度あると思われますか?
そして受験者数が募集定員をしっかり上回っているのに、入学者数が思いっきり
定員を下回っているケースも見受けられます。
(そういったデータはまた別のタイミングで明解に)
格別不祥事を起こしたわけでもないのに、いきなり受験者数が3割減とか。
募集担当の先生はさぞやショックでしょうね。
そのなかには「いったい何があったんだろう。自分(筆者)がその学校の悪い噂を知らないって?」
というケースもあるでしょうが、
「まあ、こんな進路実績なら、保護者は振り向かないよな」
も多いわけです。
「進路データは語る」のテーマともかぶりますが、絶対値として前年より上乗せを
繰り返していけば、継続することによって「進路実績も頑張っている」学校に変わる
ことができます。でもそれは「特進クラスをつくる」ということではないのです。
学力の底上げをするために全体でどういう取り組みをしているのか、
その成果が表れない限り、V字回復は望めません。
根源的な問題をおろそかにしている(ように見える)学校がどんどん脱落していく…
そんな過酷なサバイバルが中学募集の世界でじわりじわりと進行しているのです。
まあ、今に始まったことではないのですけどね。
うーん、そんなことを新聞記事にしても、何も面白くない。
真実なんてつまらないものですね。


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