2015-08-18 Tue
さて、「終了」と言いつつ、もう1本。おまけ、です。ちょこっと視点を変えると…。
前エントリー【26】で
ではトップ100のイメージを具体的に。論ずるべきテーマとして公立中高一貫校を含めるかどうか、という問題があるので、ここでは「含めない」と定義してから話を進めます。
と書きました。じゃあこの公立中高一貫校と国立中高を含めてトップ100を数えると、
私立がいったい何校、100位からこぼれるでしょうか?
筑波大附属駒場や筑波大附属はかなり上位に食い込むにしても、
なんと埼玉の伊奈学園を除く17校がトップ100に食い込み、
私立17校が押し出されます。(一部の茨城の学校も含みます)
業界批判をするつもりはないんですが、都立の中高一貫校が新設されたとき、
「建学の精神は私立独特のもので公立が中高一貫にしたからって、教育の継続性は甚だ疑問である」
と強調した幹部の先生がいらっしゃいました。
まあ、これもオトナの事情で、そのぐらい言って周囲を巻き込んでおく必要があったのでしょう。
30%ぐらいは正しいかな、と思います。
情報誌という立場から、公立中高一貫校にも取材に行きましたが、
一概に言えないにしろ、志の高い教育をしている学校が多くありました。
それを伝統ある私学が悔しかったらそれを50年、100年続けて見ろと言ったところで何の対決にもなりませんよね。
それぞれ目指しているところはまったく同じではありませんから。
都立校ではまだ大泉、富士、三鷹、南多摩の4校が一期生を卒業させていませんし、
横浜市立南もまだです。でもこの5校もトップ100に簡単に食い込んでくることは想像に難くありません。
抜かれる私立と抜かれない私立の違いは、手もとの「総合ランキング」では
国公立大+早慶上智の数字であって、MARCHではないのです。
特に都立の中高一貫なんかはライバル視しているのは、高校募集の同じ都立であって、
私立中学ではないのかな、というフシもあります。
さらに言うなら公立中高一貫を目指すご家庭は、国公立大志向が強いのは当然のことでしょう。
それを私立の独自性と個性は公立にないものだ、という当たり前の主張は
いまから思えば、失敗だったよなあ、と思うわけです。
ただし、ここのところは東京の私立育ちの人間と地方の公立出身の人間では差があるようにも思うんですけどね。
残念ながらというか、初期の都立中高一貫校などは初年度だけ人気がすごくて、
実際の倍率を見て恐れをなして次年度は撤退する受検生がたくさんいました。
なんとか塾を利用せずに合格しようとする人も多く、
塾の側でも「公立一貫対策なんて割に合わない」という声が多く聞かれました。
その結果、どうなったでしょうか?
どの学校も初年度人気は相変わらずのようですが、バブルは終わり、
真剣に受検を考えるコアな層が残っていく図式です。
そして中学受験業界全体を考えたときに、無視できないほどの「公立派」が奮闘していると言えるでしょう。
6年後の進路実績も決して夢のようなものではありませんが、
100位ぎりぎりでなんとか食い込んでいる公立校は1校もなくほとんどがトップ70以内に位置しています。
数字だけを見て言いたくはないのですが、
進学校として目指すホンモノのラインはほぼこのあたりだと思うんですね。
前エントリー【26】で引用した青稜の実績ぐらい。全体の6割がMARCH以上。
もはや恥ずかしくて都立がライバル、などとは言えなくなった私立のほうが多いわけですが、
じゃあ手をこまねいてMARCH実績急伸!などとうたっているようではちょっとこの先が心配です。
もちろんMARCHの実績すらない、のでは何も言えませんが、MARCH実績伸長の先に何を見るか、です。
口がすべって言っちゃいますが、だから都立中高一貫を経験した校長先生を
ヘッドハンティングしてくればうまくいく、とは簡単に行かないのが世の中の難しいところだと思います。


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