2016-02-16 Tue
都内私立の適性検査型入試の受け止め方は午後入試のケース同様、どこかで合格をもらっておけば、
安心して第一志望校の入試に没入できる、という考え方でいいと思います。
学校側のベクトルと、受検生側のベクトルは一致しそうにありません。
ただ違和感を感じるのは、こうしてわれもわれもと都立中志望者の併願入試に
各校が走ることです。
これはまあ、また厳しい言い方ながら、その品質でいい、というユーザーが
存在するから、売り手も呼応すると言えるでしょう。
ですから、この適性検査入試も成功・失敗が二極化しています。
受験者数を見ればわかるでしょう。集計表を再掲します。
都立中応募者は9500人ですからその3割以上がこのタイプの入試を利用しているわけです。
場合によってはこのタイプの入試を複数回利用している受検生も含まれる可能性があります。

新規参入の学校の中にはTOP100クラスの学校の名前もチラホラ見受けます。
都立中の進路実績はもっとも下位でもTOP100の80位程度ですから、
すでにそういう学校と併願を希望している時点で、受験生の質の確保とは
呼べない状況なのでは?と思うんですけれど…。
受検生の立場から見るなら、
地方の私立中学の東京会場同様、何か度胸試しをしておかないと、
一発勝負は怖い、という場合に利用すべきでしょう。
都立小石川、都立武蔵のように入学辞退率が高い都立中では、
最初から私立の一般入試との併願対策をしている受験生が相当の割合で
存在するわけですから、
受験生が100人を超えるような、メジャーな、私立の適性検査型入試であっても、
都立と両方受かったなら、私立へはまず進学しないものと思われます。
一般的な難関私立と両方受かるような受験生だから、「やっぱり私立」と
なるわけです。
中学受験界は、ほぼ無風のようでいて、こうしてじわじわと
層が分離しているように感じます。
二極化という言葉はわかりやすいですが、
実は多極化が正解だと思うのです。
それが「都立中もいろいろ個性が違う」であって、
「難関私立も伝統校ではあるが、勢いのない学校も多い」
という見立てなのです。
受験生の減少に歯止めがかからず、つい他校が成功しているという噂の
適性検査型入試を実施。でも、その入試を利用するのは…
周到な計画を立てて、私立も併願しようという受検生ばかりではありませんので、
結局、生徒の質の確保はままならず、進路実績でも苦難の道が待ち受けます。
残念ながら「悪循環」と言わざるを得ません。
それでは明日はいよいよ、東京・神奈川の2月1日の状況分析へと歩を進めます。
受験者数微減で各校が生徒の質の確保に躍起になっている姿が、
受験者数は減っても偏差値は前年比上昇?な学校の多さに表れているようです。

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