2016-01-27 Wed
学校選びの基準は進路実績だけじゃない、東大合格者数が人気を左右する現実はおかしい、これは何度も耳にしてきたフレーズです。
後半部分には激しく同意しますが、
前半部分、進路実績はさっぱりだけど、情操教育に定評があって、
しつけやマナーの行き届いた立派な生徒さんがたくさん卒業している、
のが学校の最大長所だ、と言われると、少し違うな、と思います。
特に女子校で「難関大への進学、進学と強制しない」という学校は、
自主的にそこへ向かうには学力的に無理があるからだと思うのです。
その証拠に、公立の中堅校普通科と私立のやや下位校普通科では
後者のほうが大学進学率ははっきり高いのです。進学大学の詳細は
別にして、男女とも4年制大学に行く、という志望だけはほぼ共通、というのが
大半の私立中高一貫校です。
2015年春のデータで私立中高一貫校で四年制大学より短大進学者多い学校は
たったの4校しかありません。5年前はもっと多くありました。
結局は意欲を持って学習に励めば、自ずから進路実績はついてくる、
そう言えるのです。
さて、どの実例を出しましょうか。
久々に校名は伏せますが、23区内にある、非常に通学に便利な女子校。
伝統的な学校です。ただ校則が厳しい、その他で生徒は集まらず、
募集には苦労しています。高校募集もしている学校です。
長い間、この学校には広告でお世話になり、教頭先生とも、校長先生とも
面識があるので非常に書きづらいのですが、
伝統のカタチを崩さない、鞭を入れて進学校化しないことで、
挽回できないほどに取り残されてしまったと感じています。
自分が関わった受験案内本で、近3年中、受験者数が募集定員を割った回数が2回、
に該当し、広告出広がなかったせいでページを割愛した学校でした。
2009年の中高一貫校ムックで取材したときに、この学校の良さであり、弱点を象徴する
エピソードが発生しました。
そのとき取材対応してくれたのは3人の高2生だったと記憶しています。テーマは英語教育に関するもので
多読に関する取り組みの紹介でした。
なかなかユニークなシステムで彼女たちは多読メニューをこなしていて、成果は上がっているように見えました。
それで最後に聞いたのです。
「英語力はついたと思いますか?」
すると顔を見合わせた3人は「少なくとも以前のように英語嫌いの気持ちはなくなりました」
と笑顔で答えました。
それでいいんです?
これから受験勉強に本格的に取り掛かる時期なのに、ドラマチックに
「すっかり英語が得意になりました!」と胸を張ってくれたら美しくまとまったのですが、
そこはライターの筆力が試される展開になったのを記憶しています。
取材が終わった最上階のラウンジで、彼女たちは教頭センセイにこう言いました。
「なんか、お腹空いた~。おごってよセンセイ」
教頭先生は「じゃあ…商店街に評判のメロンパンあったよな。そこでみんなの分、取材の人たちの分も
メロンパン7つ買ってこよう」
15分後、先生と3人の高校生、自分とライターとカメラマンと7人がラウンジで
なかよくメロンパンをいただきました。
そんなステキな学校です。あれから6年、生徒は入れ替わりましたが募集も進路も
苦戦が続いています。
こういうほのぼのとした女子校は消えゆく運命?
本当にほのぼの=低迷、なのでしょうか?

さあ、いよいよ2/1東京・神奈川の解禁を待つばかり。気持ちはホットに、でも頭脳は冷静に!

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