2015-12-14 Mon
数年前、広尾学園の広報のスタッフの方とこんな話をしたことがありました。(広)「最近、うれしいことにトップ校と併願していただけるケースが増えてきていまして…」
(北)「それはさまざまな広報戦略が功を奏しているんじゃないですか」
(広)「そうですね、午後入試も併願してもらえるように開始時間を考慮しているんです。特にお父様に非常に支持していただいているのが嬉しいですね」
(北)「第一志望は第一志望として別の学校をイメージしても、もしダメでもココがある、と思ってもらえるということは、好ましいことですよね」
(広)「そうなんです。少人数でも偏差値の高いほうの学校に受かっても、本校も捨てがたいと思ってもらえれば、と思うんです。」
(北)「そうなると第二志望じゃなくて1.5志望とでも言うんでしょうか。受験生の志望順位って1、2、3、4、5と均等に並んでいるわけじゃないようですよ」
(広)「第1.5志望ですか。それはいいフレーズをいただきました。今後使わせていただきます」
まあ、最後のはお世辞だと思いますが、このときのやりとりが妙に印象に残っています。
気分的に第一志望の次は第四志望ぐらいだとか、第一志望から第五志望まで全勝して
入学したのは第四志望の学校だとか、受験体験アンケートからは理解しがたい実例が
たくさん出てきます。
受験体験アンケートですから、結果で書けばいいと思うのですが、その複雑な過程に
逆に嘘をつくことができないのかもしれません。
本人の第一志望と、母親の第一志望と、父親の第一志望が三つ巴になってしまうこともあるようですよ。
もし本人の第一志望が不合格だった場合、家庭内バトルが起きそうですよね。
もちろん出願時には「便宜上」順位をつけるのでしょうが、しっかり過程を踏んでおかないと、
合格状況が想定外だと大混乱が始まるものです。
人間「気が変わる」ということはよくあります。それがたとえ12歳でも。
ですから、こちらが合格体験アンケートで真っ先にチェックするのは実際の受験校と
志望順位なのです。そこに入学までの紆余曲折が隠されているわけです。
裏返せば、志望校の順位を決め、受験校を確定させていく過程にこそ、中学受験の真髄があるとさえいえます。
そこで学校選択を誤らないように、情報収集をし、教育の価値観を照合していく必要があるのです。
決して偏差値で「許容できる」学校を選択すればいいというものではないわけです。
最近特に目立つのは視野が狭い学校選択です。
昔は合格コレクターのような難関校手あたり次第、というようなケースも見受けられましたが、
ここのところは、なぜその学校しか受けないのか、理解に苦しむ学校選びが目立ちます。
例えば、本人が気に入って第一志望だから、その中堅校しか受けないというようなケース。
もし保護者がそこのOBでも、他とまったく比べないのなら本来の「中学受験」とは違う気がします。
もしくは、第一志望校のもっとも入りやすい入試回をパスして他校を受けるパターン。
その日程を犠牲にしないとその他校(たぶん第二志望)が受けられないのでしょうが、
それってそもそもその両校を第一、第二志望に置くことが間違いなわけです。
ということは、いくら厳密に学校選択に臨んでも、実現しない組み合わせも、
世の中にはあるんですね。
ということは、選択肢にどんな学校があるのか、について情報収集するいっぽうで、
それらの学校がどんな日程で入試を行っていて、その難易度がどう違うのかを調べておかないと
お話になりません。
これって、社会科の用語はちゃんと漢字で書けるようにしておきましょう、というのと
似ていませんか?
最終形では学校選択と入試日程は一体です。
会場テスト(模試)も、最初のうちは(日程を考慮せず)「志望順位のままに羅列可」と
しているようですが、終盤戦では日程がかぶってしまうと判定が出ないわけで、
これまた「本気で取り組む」のは早いほうがいい、という好例だと思うんですね。
ここも保護者の覚悟次第で差がつくポイントのように思います。

保護者にとってもこの季節は正念場! 気持ちはホットに、でも頭脳は冷静に!

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