2015-12-07 Mon
ここまで白鴎、小石川、両国、桜修館、九段と2005年、2006年に開校した都立の中高一貫校の進路実績を見てきました。
なかなかうまく伝わらないようなのですが、
都立中高一貫校に対する幻想は終わったと思うのです。
でも、夢が醒めてからが本当の勝負です。
渋谷に渋谷教育学園渋谷という私立の共学校があります。
高校募集をしていませんから、完全中高一貫校です。
この学校は20年ほど前まで、渋谷女子高という女子高でした。
その時代のことは、まだ自分がこの仕事に関わる前だったので、
さほど詳しくは知りませんが、渋谷のキャットストリート(明治通りから分かれて裏原宿へ向かう通り)
の入り口にあったこの学校は、あまり好ましくない意味で知られていました。
スカート丈の長い女子たちで有名だったようです。
1995年、その学校が共学化し、中高一貫校になりました。
ことしで20年かあ…。
千葉県のナンバーワン私学、渋谷教育学園幕張のノウハウを注入し、進学校を目指す、
という当時の方針が公表されたとき、周辺の住民の方々は
「あのシブジョがあ???」と思ったと聞きます。
まもなく渋谷教育学園渋谷(通称シブシブ)の偏差値は上がり始めました。
6期生が入学する頃、つまりまだ1期生が卒業していない時点で偏差値は60近くにまで跳ね上がったと記憶しています。
1期生の進路実績を見てから入学したのは8期生に当たります。
そこでいったん人気は沈静化したのです。1期生の進路実績を兄弟校の渋谷教育学園幕張と比べてしまったのか、
「偏差値ほどすごくない」
「先物買いしすぎ」
そういう評価が聞こえてきましたね。
学校は東大合格2桁を目標としていましたが、この数字が達成された時点で、
再び受験の偏差値は上昇しました。そして数年後、またひと息つきました。
なんとかやっと東大10人かあ…。
いやいや、東大2桁はすごいんですよ。
でも、御三家に迫る偏差値を見せられては、そこまで人気で良いの?
という受験する側の感想になったのでしょう。
たった20年で、繰り返しますが「たった」20年で、ここまで安定して高い進路実績になったのは
ひとえに学校と生徒のたゆまぬ努力があったことは疑いのないところです。
こんな目撃談があります。
自分が渋谷駅から学校へ向かって明治通りを歩いていると、
2人の渋渋生を大人の男性が「こっち」と脇道に誘導して、何事か諭しているではありませんか。
帰り道の買い食いを注意されていることはすぐにわかりました。
渋谷は何かにつけて誘惑が多い。
下校途中で生活指導する先生もなかなか大変です。
10年ぐらい前、当時の広報部長先生がこう言っていました。
「東大2桁とか、そういうことを目標にするのではなくて、海外の一流大学にダイレクトに進学する生徒がもっと増えればいい」
「目標東大と絞れば3、40人は出せるんだろうけど、うちの教育はそこを見ていないから、なんて自慢してみたいね。」
そうおっしゃってた記憶があります。
ここでわかるのは偏差値というあいまいなモノサシで見る「世間の評価」です。
渋渋は必ずやトップ校になる!という確信などではなく、
何かやってくれそう、伸びしろがありそう、という先物買いのイメージで
人気を集め、そのあとから有無を言わさない実績が「ついてきた」ということだからです。
自分が大学実績7年間推移という概念を発想したのは、
「特定の進路実績に受験生が反応するサイクルは7年」というところから来ています。
さて、この話が都立の中高一貫校とどう関連してくるのか。
ポイントとなる学校は桜修館、そして小石川の両中等教育学校だと思います。
つづきはまた明日。

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