2015-11-08 Sun
前回は都立7校(九段含む)の難関大合格率について解説しました。すぐに個別の学校の話をしたいところですが、その前に現役進学率について、
掘り下げてみましょう。
東京都教育委員会が最初に「進学指導重点校」を指定したのが2001年。(指定されたのは日比谷、戸山、西、八王子東の4校)
都立の中高一貫のトップバッターとして白鴎で募集が開始された年度が2005年で、
続く進学指導特別推進校(小山台、駒場、新宿、町田、国分寺)が指定されたのが2007年。
都立中高一貫校の位置づけは都立高校改革と切り離して考えるわけにはいきません。
「進学指導重点校」は言わずと知れた都立高校の中でもトップクラスの進学校ですが、
難関大学への合格者が多い一方で、現役四大進学率はこのようになっています。

日比谷、西を見てください。共学校で50%台という学校は私立ではあまり見かけません。
難関国立大へ多数合格者を輩出するいっぽうで、現役合格を成し遂げる生徒が私立に比べて非常に少ないことがわかります。
冷静に見て、現役合格率は女子>男子ですから、この「進学指導重点校」の男子生徒の現役合格率は場合によっては40%を割るケースも考えられるわけです。
一浪するということは最低でも1年間予備校に通う、ということになるわけですね。
これに対して、中高一貫教育校としてスタートした学校のうち、すでに一貫生が卒業した7校を見てください。
現役四大進学率では一貫じゃないトップ進学校と大きな差がついていることがわかります。
私立にも言えることですが、浪人してまで第一志望校を貫くか、現役進学を優先するかは個人差もありますが、
周囲、先輩や同級生の考え方、環境に左右されると言えるでしょう。
これを「都立」というくくりでなく、学校ごとの校風と考えたらどうでしょう。
私立の中高一貫共学校の現役進学率は、以前にも紹介しましたように、
総合ランキングTOP100に入っている33校の平均は75.4%で、
都立の中高一貫校にはその値を上回ってる学校も珍しくありません。
ということは都立中高一貫校の売りは難関大学への現役合格だということがわかります。
「進路データ」は「校風のようなもの」という話→PART3(共学校編)
<8/23更新記事>
小石川の1期生は現役進学率が70%に届かず、母体校の校風をそのまま引き継ぐか、のように思われました。
しかし、さすがに中等教育学校、年度を追うごとに数字は上昇しています。
都立の中高一貫校のほとんどが、母体校時代の数字を大きく更新していく傾向にあるわけです。
もちろん、ひたすら「現役」にこだわる進学指導をしてしまうと、「難関大」という部分で数字が伸び悩んでしまいます。
問題はその絶妙なバランスと言えるでしょう。私立との比較で言うなら、
国公立大・難関私立に実績を残しながらも70%台をキープしていくのは並大抵のことではありません。
2016年春に1期生を輩出する、大泉、富士、三鷹、南多摩の14年春(15年春)の数字を確認してみましょう。
1期生が卒業する前から現役志向が急速に高まっていることがわかります。
掲載校=桜修館,大泉,小石川,立川国際,白?,富士,三鷹,南多摩,武蔵,両国,千代田区立九段,武蔵野北,新宿,国際,国分寺,駒場,竹早,小山台,青山,立川,国立,八王子東,戸山,日比谷,西

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