2015-10-28 Wed
いまだに、というと語弊がありますが、公立中高一貫校受検に関心のあるご家庭が多いようなので驚きました。せっかくなので、その人気の本質をしっかり見極めてみたいと思い、
少々遠回りしております。
公立中高一貫校の本質ではなく、その人気の本質ですのではき違えないでくださいませ。
どういう展開がいいのか…、実は現時点での到達点ははっきりしておりまして、
少しでも詳しく理解しやすい手順で進めたいと思っている次第です。
学校別のキャラクター分析へたどり着く前段階として、
(公立中高一貫校は)地域によって大きな差がある
ということをこのカテのこれまでの記事で立証したつもりです。
集計分析の過程でMARCHは難関大学としては全国区じゃない、という面が
強調されてしまったのは、自分でも読み違いでしたが。
意外な副産物が得られて、本題からはけっこう脱線してしまいました。
で、きょうはいちばん関心の高い、東京都立の中高一貫校(千代田区立九段も含む)について、
まずは俯瞰してみます。
言葉で書くのは簡単ですが、数字で表現したほうがより客観的だと思います。

2009~2015年の7年間の学校別「応募者」推移です。
初年度の人気がすごい、ということが言えると思ったのですが、
いま手もとに2005~2008年のデータがないので、都立に関する限り
そこは断言できません。
ただし、小石川ほか3校の一期生が卒業した2012年の翌年の選抜は
大泉、富士、三鷹の卒業生が出ていない学校も含めて5校で、
応募者数がMAXに達していることからも、
「このときは」都立中高一貫はすごい!となったことが読み取れます。
桜修館に至っては、一期生卒業の翌年に見事に過去最高の応募者数に
なっているわけです。
これに対して、2015年春は過去最低の応募者数が大泉、小石川、南多摩の
3校で、前年、前々年の反動が出ています。
都立中高一貫校(九段含む)が11校シフトになって以降の応募者数の合計は
2015年春に最低値を記録しているのです。
いっぽうこの応募者数を倍率に直すとこのようになります。

一期生を送り出したあとの2年連続の応募者増は白鴎が一度記録しているだけ。
進路実績と人気を比較して、どうしてもその学校じゃなければいけない、
の思いはあまり感じられないのが都立中高一貫校の特徴と言ったら、
厳しい意見に過ぎるでしょうか。
とはいっても7年間、延べ73回の倍率の平均が6.9、2010年、富士の3.9が最低の倍率です。
この高倍率にビビるのもうなずけるかもしれませんね。
倍率が高かろうが、合格力があれば受かります。
不合格は必ずしも倍率のせいではありません。
ただし、その合格力が最初のうちは不明瞭で見えてこない。
選抜を繰り返し、過去問が蓄積されれば、対策は徐々にでも
明瞭になってきます。
そうなったとき、「これは大変だ」と現実をつきつけられている
のではないでしょうか?
「通える場所に学費の安い都立の中高一貫校ができた! いっちょ目指してみるか」
といった軽い気持ちではなかなか突破できないのが都立中高一貫です。
女子校のトップ、桜蔭の実質倍率が何倍かご存知でしょうか。
例年は2倍程度ですよ。どんなに密度の高い2倍か、と。
考え方によっては、(都立中高一貫校は)桜蔭よりも、努力が報われない可能性が高いことを
覚悟して選抜に臨まなければいけない存在だと言えるかもしれません。
このカテでの次回は、都立中高一貫の進路実績について
学校間比較を試みます。
この続きは文化の日(11/3)の夜の更新で。

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