2016-12-19 Mon
細かな直前の志望動向は実際の受験者数の増減にさほど影響しないとしても、
「例年とほとんど変化はありません」とは
言えないのも業界の事情でしょう。
進学塾の広告でも
難関中に多数合格!
という数字は目を引きます。
ただ受け取る側が
その数字を正確に評価できるか
どうかは別問題なのだと思います。
そんな中で
難関中は相変わらず激戦
という抽象的なフレーズ同様
毎年気になるのが、
大学付属校も根強い人気
という言い方があります。
「難関中」もあいまいなくくりですが、
「大学付属校」も実はあいまいなイメージ
なのではないかと思います。
系列大学への推薦進学者が少数派の場合も
含めると、実に多くの中高が系列の法人に
大学を持っていたりします。
でも駒場東邦や渋谷幕張を誰も付属校だとは
はずです。
系列大学への推薦進学者が多く、その大学も
MARCH以上の難関大の付属校となると
数も受験者数も限られてくるわけです。
東京で言うなら慶應、早稲田、青学、中央、
法政、明治、立教の付属中の受験者数を
すべて合計しても全体の1割に満たないのです。
2016年春は8.4%→慶応中等部、早稲田実業、早稲田大学高等学院、
青山学院、中央大学附属、法政大学、明大中野、明大中野八王子、
明大明治、立教池袋、立教女学院の11校の合計受験者数
4年前、2012年春の東京全体の中学受験者数と比較して
2016年春が97.4%であるのに対し、前記11校の受験者数は
86.4%なんですね。
早慶は堅調と言えるにしても、意外なほど付属校人気全体は
低調です。
ただ最近でも横浜英和女学院が青山学院大の系列校になったり、
法政第二が共学化したりして、広い意味での増加要因があるため、
付属校の人気は衰えない、と言われがちなのだと思われます。
ほんとうに根強いのは
大学付属なら大学受験に苦労しない、というイメージだけ
であって、中学受験で大学付属を志望するのは
意味が違うのではないかと思うのです。
少子化の進行とともに大学も生き残りがかかっています。
付属校を受験するメリットが中学受験の段階から浸透するのは
歓迎すべき事態ではないかと思います。
情報が錯綜するなかで、1校1校の個性を深く知ることと
全体の動向を俯瞰することは、難しいことでは
ありますが、並行した作業なのではないかと思うのです。
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2016-12-17 Sat
首都圏の中学受験…業界的には・受験者数微減でも上位校人気は変わらない
・東京に関する限り今後しばらく小学生数は減少しない
ということで、盛り上げたい方向のベクトルは
変わりません。
後者はともかく、前者については客観的にどんなデータが
根拠として登場するのか気になります。
一部の会場テストでは上位校の偏差値はほぼほぼ一律に上昇し、
ここ3~4年で横ばいの学校は徐々に停滞グループに
近づいているようですから、
これをもって「相変わらず上位校が人気」はかなりあいまいな
感想ではないのかと思うのです。
80%偏差値が上昇するのは難化というよりも、
受験者層の二極化ではないのかと思ったりもします。
まあ、これは私立中学入試は統一問題ではなくて、学校ごとの
出題ですから、その学校の出題にアジャストした受験生が
合格するだけの話で、会場テストが徐々にモノサシとして
機能しなくなってきている、
いわゆる逆転?合格が増えている、という
現象なのかもしれません。
ほんとうはそんなことはどうでもよくて、受験生は
残された時間で、第一志望校の過去問をしっかりやって、
求められている答えを
答案用紙に書く練習をとことんやるだけの話なのだと
思います。
直前の受験生動向の資料が配られる業界セミナーの
話になりますが、
自分の場合、パネラーのトークは半分ぐらいしか聞かずに
資料として配布される
それぞれの会場テストの志望校別の数字の増減を比較して、
一致するのかしないのかをひたすらチェックしていました。
四谷大塚と首都圏模試では増加でも日能研では減少とか…。
三模試とも増えていて志望者がほんとうに増えていれば、
本番での難易度も上昇するわけです。
こうした直前情報で、
いわゆるアナウンス効果で本番では敬遠される
ケースもありうるのですが、
受験生と保護者は
偏差値表にそれがあらわれない限りは、こういった情報を
知らないか、スルーしていると思います。
でも学校によっては、毎年のこのデータが気になって
一喜一憂しているからこそ、資料として配布される
のかもしれません。
やはり全体動向を気にするのは受験生よりも
業界人と学校自身みたいですね。
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2015-09-06 Sun
「中学受験の将来像」カテに一旦終止符を打つにあたり、まずは「二極化」についてのある側面をデータ公開します。
将来像=受験動向に偏っているのは重々承知ですが、
入試問題そのものについては、毎年新傾向が出るわけはないので、
教科学習の専門家に譲りたいと思ってます。
入試システムについては「基礎知識」としてのいろいろな項目がありますが、
システム変更やその流行は募集が安定していない学校の改革・工夫ですので、
近いうちに「中学入試の基礎知識」的なカテゴリーで追っかけたいと思ってます。
ということで今回のデータ公開は「卒業者数の推移」です。

一部例外的に意図的に学校規模を縮小するケースもあるようですが、
基本卒業者数の減少は学校の(マイナスの)勢いを示します。
でも学校が伸びているときに卒業者数に反映するわけではないので、
完全にネガティブデータということになります。
高校募集をしている学校であれば、高校募集も不振であることを表します。
以前から小規模校でやってきた学校以外の、近年急失速している学校がわかります。
(注)東洋大京北は2015年より共学化し、人気が盛り返しています。
<今回掲載校>川村,富士見丘,国本女子,東洋大京北,暁星国際,瀧野川女子学園,桐蔭学園,北鎌倉女子学園,共立女子,淑徳与野,西武学園文理,大妻嵐山,日出学園,秀明,聖徳大学附属,文京学院大学女子,城西大学付属川越

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2015-08-25 Tue
二極化について深く掘り下げるかどうか悩んでいます。ただただ受験生が集まらない学校の分析をここでしてもしかたない気がします。
二極化というぐらいだから、受験生が集まってしかたないほうを掘り下げたほうが読んで面白いのかもしれません。
でも、それもバブルな要素がありますからね。だって人気がありすぎる学校は難易度がそこそこ(高い)っていうことだから。
ということで、「今後の動向」という意味での中学受験の将来像はここでいったん締めることにします。
最後にこんな内容を書いておきましょう。
受験生の減少が続いて、取り返しのつかない低迷状況に陥ってから
「何か対策はないものか?」「広告企画でなんとか打開したい」と言われても
なかなか成果を挙げることは難しいです。どうしてそこまで放置しておいたんでしょう。
まあ、そういうのは学校の業界だけの話ではないと思いますが。
やっぱり自分の学校のポジションがあまりわかっていないから「まだ大丈夫」と油断していたのかもしれませんね。
あとは校長先生が忙しくて将来の校内改革に時間を割いていられないような学校もあるかもしれません。
在校生も受験生もちょっとかわいそうです。
ちなみに四谷大塚の偏差値なんかはよくできたもんで
「入試で競争が起こっていない」学校の偏差値は算出されていません。
ぎりぎり受験者数だけが足りているような場合は極端に低く出ています。
自分はその点、非常に誠実だと思います。
私立の入試広報の先生は偏差値表に自分の学校の名前がないと、とても悲しいようです。
下のほうでもいいから校名を出してほしいと。
厳しいことを言うようですが、校名が掲載されたからって、誰かが見つけて受験してくれる保証はあるんでしょうか。
入試システム(日程)をいじりまくり、回数を増やし、受験機会を最大限に拡張して、
その結果、初回の日程以外は受験者数ゼロ、とか、
入試結果アンケートで「(あまりに少ないので恥ずかしくて)非公表」とか
偏差値表を制作する模試の担当者はため息ついていると思います。
とにかく万が一でも聞いたことのない校名に遭遇したら前年度の受験者数を調べてみることです。
実質倍率を調べてみることです。
たぶんここでワーストランキングを公表したところで、
読者の方々の役には立たないでしょう。
その若干上の層に位置する地雷校、地雷予備軍のほうが情報として大事でしょうから、
予想していましたが徐々にカテゴリー区分は整理していくつもりです。

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2015-08-10 Mon
ここ10年の間に中高とも募集停止をしたのは那須高原海城の1校だけでしたが、(桜華女学院は休止したのちに復活)杉並学院がとうとう16年春に中学募集の停止と
発表しましたね。中学を併設していない学校では東横学園大倉山、洗足学園第一が
高校募集停止をしていますが、いずれも2006年のことでかなり前。経営者が変わったり、校名が変わったり、
男子校、女子校が共学化したり、さまざまな変化を経ながら学校自体は存続するのが
この業界の通例です。在校生がいますから、経営側の責任もあるでしょう。
とはいえすっかり死に体になっている私立中高もけっこう多いんですね。
客観的に数字の面から言うと、総受験者数が100人未満の学校は15年入試の実績で都内に40校。
全体の22%を占めます。これは受験者数であって、合格者数でも入学者数でもありません。
「募集定員よりも受験者数が少ない学校」として調べると、またこの数字は若干増えます。
定員160名でも130名しか受験していないような場合もあります。
冒頭の杉並学院も15年の受験者数がゼロでしたから、その入試結果を受けての決断だったのでしょうか?
ゴルフの石川遼選手が在学していたときに、高校入試がかなりの人気になった学校ですが、
中学にはほとんど力を入れませんでした。
もちろん高校募集に集中する、という経営方針もあるので一概には言えませんが、
中高とも募集が不調となると、あとは身売りということになるわけです。
それも含めて生徒数の推移は知っておかねばありません。中学だけでなく高校も。
まあ卒業生の増減を見ていけばそこんとこは見えてきますけどね。
「募集定員よりも受験者数が少ない学校」をずっと見ていった場合、受験者数が10人以下の
学校が杉並学院以外に4校も出現しています。危機的な状況です。
そして、合格者数と入学者数に大きなギャップのある学校も見受けられます。
入試は受けるけど、入学の意志はない受験生が多い学校です。
さすがにここまで来ると入試の選抜は成立しておらず、偏差値にそれが表れているので
まったく知らずに地雷を踏んでしまうことはないとは思います。
とはいえ、「募集定員を受験者数がしっかり上回っている学校」でも、突然失速するケースが
最近目立っているんですね。14年入試で100人以上の受験者がいた学校のうち、受験者数がいきなり
2割減のダメージを受けた学校は29校にものぼります。継続して目立っていないと
いつ何があるかわからない激しい競争のもとにさらされているということだと言えます。
日々の積み重ねをいかに外部へ発信するか。広報担当の先生には頭のイタイ問題です。


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