2016-05-16 Mon
先日、たまたま見ていたNHKの番組で、有名人の在りし日のインタビュー、車谷長吉氏が登場していました。
「赤目四十八滝心中未遂」は代表作、1998年上期の直木賞受賞作なのだそうです。
インタビューの中で慶応大学を卒業して勤めた広告代理店で
そこの社長に「広告は人をダマしてナンボ。騙して来い!」と
叱咤され強い拒否感を抱いた、と話していました。
こういった言葉も受け取りようだとは思いますが、そこまで明確に言い切ったのだと
すれば、自分も車谷氏と同じ気持ちになるかもしれない、と思ったものです。
顧客の満足が保証されれば何をしてもいいのでしょうか。
いわゆる「大人の事情」とやらはそこかしこにありますから、
きっぱりそこを拒絶するわけにはいきません。、
でも、ひこにゃんをプロデュースしたPR会社の女性社長も、自らが被災した
阪神淡路大震災で、「災害支援を会社のPRに活用したいので協力してくれ」と
言われて、これも強い拒絶を示したのだと別の民放の番組で紹介されていましたね。
彼女は「ブームは自然発生しない。仕掛けるもの」と言っていましたが、
誠実さと実際の仕事のバランスは当人にしかわからないものでしょう。
中高としても、日々の激務の中で
・わかってはいるけどとても対応している余裕がない
というのと、
・一銭にもならない誠実などどうでもよくて、とにかく結果を残せ
というのでは、
大きな差がありますが、表れてくる結果はさほど変わらないかもしれないですね。
なかなか難しいです。
中高一貫校の置かれている状況も過酷ですが、さらに大学はもっと大変。
いまどきの大学は学生の確保にかなりの危機感を持っています。
それがひとつは駅伝ほかのスポーツの広報効果の重視であり、
付属校の囲い込みだったりします。
昨日の記事で、学習院中等科(男子校)が難関大実績を伸ばしているというTOP5に
入ることをお知らせしました。
難関私大のカテゴリーとしてMARCHとも言われますが、学習院大を加えてGMARCH
とも言われる大学の付属校が年を追うごとに他大合格者を増やしているようです。
系列大学進学率は15年春、ついに50%を切りました。
学習院中等科の成績上位層は系列大に進学しない???
それに比べていくつかのMARCH付属校は、成績上位者は
間違いなく系列大に進学。せっかくの付属校に入学しても、中位~下位の成績では
思った進学ができないようです。
大学の「優秀な学生の確保が急務」というのと、
中高受験生側の付属校志向…。
かなり前からズレを感じていました。
首都圏の高校進学の大規模合同説明会では
いまだに付属高のブースは長蛇の列。
偏差値がそこそこで、大学受験で苦労しない高校を探す保護者。
そんな付属校を知らずに中学で受験するパターンも目立ちます。
有名私立大学のブランドに引っ張られる中学受験生は
徐々に減ってきたと言われていますが、
新たな有名私大付属校の選択肢増にはまだまだ敏感な印象を受けます。
次回はそのへんの実態にスポットを当てようかなと思っています。

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2016-03-17 Thu
実は心の底に引っかかっていた懸案のテーマを仕上げることができてほっとしています。
きのう書いていた「人間ネタ」がまだいいまとまりにならないので、
昨日の記事と似たようなところからきょうもスタートです。

シビアな競争が起こっているラインが年々上昇し、そのボーダーラインにいる学校は
とにかく入学者を確保しようとして、午後入試でもなんでも!という姿勢になります。
まさにTOP100クラスの学校でも午後入試を必須としている状況です。
これが少子化の実態、受験者数減の実態、ということです。
それでも学校は潰れない。
どこかに入ろうとすれば確実に入れます。
落ちないように中学受験をすることは可能です。
問題はそれで満足か、という話。
昨今ブログを更新する過程でうざいなあ、と思うのは
中高一貫校の内部生向けの塾の広告です。
(更新画面やランキングサイトにうざうざ表示されますね、ま表示するのも彼らの仕事なので…)
大昔、予備校は大学受験の浪人生がターゲットでした。
自分も東京で予備校に1年通ったクチです。
それが、大学は現役合格主義になり、それでも顧客が不足し、
こうなったのです。
「せっかく苦労して中学受験して難関校に入ったのに、このまま
だと大学受験が危ういよ。現役合格するためには、早くから
塾通いしないと!」
中学に入るために、こんなに塾通いしたのに、入ってもまた
塾通い?
だって、それを塾は求めています。
そこに「降りて」来ています。間違いなく。
それに中学受験を通過した子どもたちは塾通いには慣れています。
って、そういう問題か???
かつて。
今では、「かつて」なのだと思いますが、
入試のための学校説明会で「在校生の通塾率はどのぐらいですか?」という質問が
よく聞かれました。
これに学校は「うちは面倒見をアピールしていますから、学校のきめ細かな補習を
こなしていれば、塾は必要ありません!」
そんなアピールの場、でした。
でも、2、3割の在校生は「まあ、通っていたほうが安心だし、学校の宿題も
塾でできるから」と言っていました。そんな現実でした。
状況は変わり、ますます中高一貫生の通塾率は上がっているのではないでしょうか?
本当に校内でたっぷりの負荷をかける学校では、塾に通っている余裕すらないでしょう。
でも、15/9/15の記事で紹介したエピソードを思い出しましたが、
「進路データ」は「校風のようなもの」という話→PART4(付属校編-3)
気がついたら学校生活を謳歌しすぎて、成績が…。
これにかなり後で気づいた、というケースは多いようです。
特に大学の付属校だと第一希望の学部じゃなくても、どこかには入れる、と油断しがちです。
そうならないように…塾側は早め早めに警告サインを送ってきます。
100%は言い切れませんが、中学受験=志望校合格で、「ひとまず終わった」感が
長く続くと、「もうすぐ高2だけど、これじゃマズイ」的な展開が待っています。
いちがいには言い切れないにしろ、
そういう「緩めてくれる」学校は「現役合格至上主義」の進学塾とグルかもしれませんよ(笑)
もしかしたら、そういう「緩めてくれる」学校は、
しばらくは定員割れは起こらないな。定員割れになる前に、午後入試やっておきゃいいか。
まさか、そうは思ってないと思いますが、結果的に
「少子化」はそういう事態(中だるみ中高一貫生量産)を招いているように自分には思えるんですね。
まあ、塾も業界内でのサバイバルが熾烈です。隙の見つけ方は中高の比ではないと
思われますね。
だいじなのは受験勉強そのものじゃなく「学ぶモチベーション」&「自己肯定」であることは
間違いないと思うのですが。

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2015-09-04 Fri
前回のエントリーはかなりシビアなランキングになるのかな、と自分で思っていましたが、自分でも拍子抜けでした。
アノ地雷校はどこへ行った?(笑)
そうですね、みんなここ数年でMARCH実績を頑張っているのです。
15年春実績でMARCHが7年中7位なんていうことは、まず起こらない。
だって総合値50%を超えた対象131校のうち、MARCH実績が7年中7位は、たったの8校ですもん。
ちなみに7年中1位は41校(tまり自己ベスト)。これが現実です。
みんなMARCH実績を伸ばしています、1都3県中高一貫私学。
ということで、イジワルを言うなら12年を4年ずつ3分割してV字回復風、
つまり最初の4年>最新の4年>中間の4年という並びになるような学校をフィルタリングしてみると、
なんちゃって右肩上がり校が判明します。まあ、今はそこまではやりません。
はい、以下が実際に伸びている学校のランキングです。
繰り返しますが、時期が来て雑誌で組まれる企画のような
点と点で合わせて計算する「伸び」ではありません。
継続した「伸び」です。
もちろん「伸びしろ」も意識しないといけません。
これまでの数字が悪かった学校ほど、カーブが急になるからです。
(★だから総合ポイントでレベルのチェックが重要!)
最初の表は「順位点」。

次の表は「7年平均vs3年平均のギャップ」

ただし、ここでは7年間の推移をベースに、近3年の数値を捉えていますので、
集計対象期間の卒業生が抜けている、
つまり中高一貫の一期生が卒業して7年未満の学校は含まれません。
ですから、共学化で上昇した広尾学園、かえつ有明は入って来ても、
別学校として共学スタートした宝仙学園は「伸び」では集計対象外。
公立の中高一貫校も同様です。
※黄色の網掛けは両方の表に入っている学校です
※総合値を見ると、少ないながらTOP100付近からの「駈け上がり」校も判明しますが、
値200%を超えているのに「まだ伸びている」学校も存在することに気づくと思います。
それでは今後は進学データ「地雷系」の話題は主に「進路データ」カテで展開することにします。
<今回掲載校>東京都市大学付属,学習院,大宮開成,広尾学園,かえつ有明,豊島岡女子学園,逗子開成,本郷,吉祥女子,洗足学園,東京純心女子,湘南白百合学園,富士見,高輪,共立女子,品川女子学院,森村学園,実践女子学園,浦和明の星女子,帝京大学,青稜,暁星,順天

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2015-09-03 Thu
「明らかに進路実績が伸びていない」という現象を十年スパンで俯瞰するとどうなのか、とこのカテ、前回予告(8/20)で書きました。
精密には一校一校細かく分析する必要があるのですが、全体的な特徴、傾向ということで、
ここでは進めたいと思います。まあ、「なぜ?」と思う部分は適宜突っ込んでいきます。
このブログ、どこまでネタが続くか本人にも読めないのですが(笑)、
一通り回った後に、個別に掘り下げる意識で進めれば、なかなか終わらないかな、と思います。
もちろん要望があったり、ウケがよかったり、悪かったり、でそこは今後、判断します。
では、データの解析を定義します。前エントリーで説明したように、
7年間の推移を「順位点」「7年平均と近3年平均の比較」の2つの方法で行います。
十年スパンと言っていて、それが7年推移になって非常にアバウトで申し訳ないのですが、
あまり変わらないと思うので。
もし仮に8年前に大きなピークがあって、それが含まれない学校はピンチになる可能性がありますが、
近3年平均が7年平均より低い、ということは苦戦には違いないので、精度は低くないと考えます。
それでは順位点バージョン。苦戦している学校。
繰り返しますが順位点は近3年の数値が7年推移のうちの1~3位となっている学校が1ポイント。
国公立大、早慶上智、MARCHの3カテゴリーがありますので、事実上の最高点は3ポイントになります。
逆に、近3年の数値が7年推移のうちの5~7位になっている学校は各カテで13ポイント。
3カテゴリーで39ポイントが最低値です。

とても意外ですが、横浜雙葉が苦戦の1位。32ポイント、ということは近3年の順位が4位、5位、7位ぐらい。
ということになります。
実際近3年で7年中7位が各カテに含まれていて、国公立大の実績は
(15年→14年→13年で)6位、7位、5位です。15年春も東大合格は3名出していますので、
トップクラスは優秀なのですが、次位の生徒たちはさほど国立大を志向しない。
これを横浜共立学園と比較した場合、だいぶ接近してきましたが、
国公立大の平均値は横浜雙葉のほうが上です。
でもMARCH実績が横浜共立のほうが4割以上上回っているため、
総合的には逆転してしまうのです。
タイプの違う両校なので、優劣は一概に言えません。
現役進学率の差もわずか5%です。
言えるのは横浜雙葉の国立志向が弱まっている、ということだけです。
駒場東邦のような特殊な例もあります。
国公立大合格率は15年春、自己ベスト。
そのいっぽうで、早慶上智、MARCHの数字は7年間でワーストです。
なかなか極端です。現役進学率は50%台前半で、14年春は東大合格者の7割が現役合格ですから、
上位生に引っ張られて現役では理想を追う、傾向が強く出ているように見えます。
続いて7年平均と近3年平均の「差」を見ます。

(校名のブルーの網掛けは2つの表で重複している学校)
近3年平均が10%以上下回っている学校はわずかに5校。
5%以上下回っている学校にしても12校しかありません。
早い話がMARCH実績を伸ばすことで、ほとんどの学校が右肩上がりの数字になっているわけです。
ここでは主に国公立大合格に力を入れて、MARCH合格にあまり興味がない学校が並んでいるというわけです。
「総合値」の(7年平均)200%は、全体の35位(公立一貫除く)。100%で75位見当。
TOP100のラインが63%ぐらい。
なお、今回推移を算出した対象校はこの数字が50%を超えている学校に限定しています。
さて、ここまで読んで、さっぱり読み解けない…という読者の方にひとことだけ付け足しましょう。
「MARCH実績なんかに興味ない、それ以上の難関大に進学する!」
ような総合ランクの学校はこの苦戦ランク表に記載されても大問題ではないのだと思います。
ただ、そうじゃない学校が、この表の中に見つかったら、ある意味「地雷」ということです。
ここまでフィルタリングしても、
進路実績が学校のすべてじゃない!そんなもので評価されるのは迷惑!
という主張は可能ですけど…。
★せっかく調べたので、ネガティブ系だけでなく「実績伸長・注目校」も公表しちゃいますね。
それでは明日の晩に…
<今回掲載校>横浜雙葉,城西川越,駒場東邦,開智(一貫),開成,桐朋女子,桜蔭,白百合学園,城北埼玉,栄光学園,サレジオ学院,筑波大学附属,渋谷教育学園渋谷,西武学園文理,雙葉,鎌倉学園,専修大松戸,江戸川学園取手,穎明館

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2015-09-03 Thu
明らかに進路実績が伸びていない、をどう客観的に表現するか、一見難しそうに思いますが、そうでもありません。
長期間「合格率」を集計・記録していて、
いちばん古いデータから任意の年度までの「最大値」を記録していけばいいんです。
簡単に言えば自己ベスト。
自己ベストを毎回更新しているアスリートが伸びていることは簡単にわかりますよね。
相対的な順位は別にして、絶対評価として頑張っている。
しかし、10年前に自己最高を記録してそれ以降記録更新がなかったらどうでしょう。
まれに何かの間違いですごい記録が出てしまうことが進路実績でもあります。
高地大会だった1968年のメキシコ五輪のような。確か男子走り幅跳びのビーモン(アメリカ)記録は
23年間破られませんでした。
トリビアを振っている場合ではありません。失礼しました。
そして突然変異の自己ベストもこのように統計するとマイルドになります。
7年推移で7回の記録をよかった順に1~7の順位づけをして、近3年の(順位の)合計値を算出する。
すると5+6+7=18が最低値で、1+2+3=6が最高値。13段階の目盛りが形成されます。
これを例によって国公立20大、早慶上智、MARCHの3カテゴリーで合計するなり、
平均してみると伸び状況が算出されるわけです。これは順位型。
順位ではなく伸びの度合いを数値化したい場合は、3年間の平均値÷7年間の平均値、これが簡単な方法でしょう。数値型。
この両方で上位の数字、もしくは下位の数字になる学校は、まあ言い逃れができないでしょうね。
おっとマニアックに数字のいじり方を説明して長くなってしまいました。
ここは方法論、ということで実際のランキングはこのあとで。
(ランキング自体は本日夜の定期更新で)

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