2018-01-16 Tue
いま話題になっている「センター試験に何故かムーミン」事件。まあ、いろんな角度から分析することができるわけですが…。
ある意味、どうでもいいことで「炎上」するいまどきの
つぶやき事情、ネット事情を反映しているいっぽうで、
たかが入試問題で大騒ぎしちゃって…というのも正直なところ。
もちろん出題が不適切、というのであれば採点から除外すれば
いいわけで、センター試験ともあろうものが不適切な出題なんて、
言語道断、何たる不祥事…ということも可能です。
トーベ・ヤンソン作のムーミンという作品の舞台は、
フィンランドではなく架空のムーミン谷、ということで
いくら論争しても始まりません。
たぶん出題者は、ノルウェー語とフィンランド語では「語族」が
違うということも絡めて出題したかったのでしょう。
近接したスカンジナビア諸国にあっても、異なる民族構成で異なる国家が
形成されていることに思い至れば、
地理B履修者としてトーベ・ヤンソン→フィンランドから相違に気づくことは
容易いと思うわけです。
そういえばキタシロも北欧→ラップランド→サンタクロースの故郷…
なんて連想しましたが。
かといってサンタクロース=フィンランドではなく、入試問題として
出題するにはいくつかの微妙なハードルはあるような気がしますが、
連想的なクイズと思えば、まず民族的背景と語族という知識がなかったが
ために正しく運用できなかった、というだけの話と思うわけです。
というわけで、
「なんでセンター試験にムーミンが出るんだよ!」という
無知なる嘆きと
「ムーミンの舞台はフィンランドではなくムーミン谷」という理屈の
間にはけっこうギャップがあるのかも。
またヴァイキング=ノルウェーと断言していいのか、という問題も
同様なれど、現代日本でバイキング=食べ放題で通用しているわけだから、
その語源を少しだけ聞きかじっていても損はあるまい。
題意を汲み取り、確率の高そうな解答を見極める力が必要なのは、
出題形式が変わろうと、今も昔も変わらないし、
この例を「思考力重視」などと見なすのは陳腐。
さて、今回の件で思い出したひとつめは
「東京キッド」の件。確か90年代の公立高校入試問題だったと記憶しますが、
戦災孤児の写真を提示して、
右のポッケにゃ○がある、左のポッケにゃ○○○…
どっちの○が出題されたか忘れてしまいましたが、戦争を知らない中学生に
美空ひばりの歌詞を連想せよ、という出題がとても思考力・表現力を見る問題
とは思えないと違和感を覚えた記憶がある。
こうして時折入試問題に「世代ギャップ」が登場して話題をさらう…。
思い出したふたつめは、このブログでも一度取り上げた、鴎友学園の社会科で
出題された「アフリカ分割」の問題。
小学校では習わないヨーロッパ列強によるアフリカ分割の歴史を
「国境線が直線なのは自然国境ではなく人為的なものである」と気づかせよう
する良問だったと記憶しています。
ただしこれも全受験生が未履修という前提なら思考力を試すと言えるかもしれないが、
知識として「国境の決め方」を知っていれば、思考力を問う問題にはならない。
結局、いつの時代も入試問題に不条理性は潜んでいるようです。
知識を問う問題から、思考力・運用力・表現力を問う方向へ
シフトしようとするなら、迅速かつ公平な採点に支障をきたす、
という構造になっているとも言えそうです。
ということは、多くの学校が入試日翌日に合否を発表する中学入試って?
まあ、そこをつつくのも野暮というものでしょうかね。
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2018-01-10 Wed
やや思うところがあって、しばらく更新せずに埼玉の1/10午後入試の話題を最新のままにしておきました。
本日1/10から埼玉の中学入試がスタートしましたが、
出願ベースで見る限り、当初の懸念通りです。
まあ、その先の話は明日以降に。
すっかり遅くなってしまった新年第一弾は1/20スタートの千葉入試について。
千葉の私立中入試日程は、毎年大きな変更がなく、
上位校~中堅校は
1/20市川、専大松戸(1)
1/21東邦大東邦、麗澤(1)、国府台女子学院
1/22渋谷幕張、昭和学院秀英
1/23芝浦工大柏
1/25麗澤(2)
1/26専大松戸(2)
1/27芝浦工大柏(2)
という並びで午後入試を設定している学校も、
二松学舎大柏、聖徳大附属、千葉明徳などごくごくわずかだったのですが、
千葉御三家とも言える渋谷幕張、市川、東邦大東邦…
と接近したポジション(本ブログの進路実績・総合値集計では東邦大東邦よりも上位)
の昭和学院秀英が2018年入試から1/20pmに新日程を設定。
地理的に近い渋谷幕張との併願を意識したのか勝負をかけてきました。
東邦大東邦が高校募集を停止して、中高一貫色を強く打ち出したのに
呼応しての動きなのかもしれません。
というわけで昭和学院秀英の進路実績を中心に見てみます。


渋谷幕張・市川・東邦大東邦との比較はこちら↓
(千葉)進路実績チャート・サンプル比較・渋谷幕張編(2)
千葉5番手の芝浦工大柏のグラフはこんな感じで上位4校とははっきり差があります。


ちなみに参考までに専修大松戸、麗澤、国府台女子との進路実績チャート比較も
作ってみましたが、TOP100ランク外3校は総合値、国公立大ランク、
MARCH非依存の数値が似通ってしまい、残念ながらその差がわかりません。



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2017-12-31 Sun
「午後入試」がもっとも多く設定されているのは、東京・神奈川の入試解禁日の2/1ですが、
1月入試を実施する埼玉・千葉でもpmの文字が
年々目立つようになっています。
「他校との日程重複を避ける」としても、
入試日程はカレンダー以上はなく、しかも受験生心理でいえば、
早く受験して合否を早くはっきりさせたい、と来ています。
埼玉の中学入試解禁日の1/10も午後入試が年々増えてきました。
ざっと偏差値表で見ていくと、
星野学園(理数)、西武学園文理(特選特待)、城北埼玉(特待)、
城西川越(特待)、浦和実業学園(特待)、埼玉栄、昌平、
開智未来、西武台新座、東京農大第三、春日部共栄、大妻嵐山…
あらためて数えたことがなかったので、その多さにちょっと驚きました。
1/10午後入試ですから、1/10午前に第一志望校を設定している
受験生狙いなのでしょうが、1/10午前に入試を設定していて、
午後入試を行わない学校といえば、栄東、開智、大宮開成…
ほんのわずかです。
ということは、この3校、とりわけ1/10に最初の2校を受験する層を
ターゲットに午後入試を設定していることがわかります。
午後入試でも上位クラスとか特待などの付加価値のある合格をもらえれば、
誰でも悪い気持ちはしません。
おまけに同じ学校でも上位クラス入試、特待入試で高めの偏差値が設定されて
いれば、格好のお試し受験コースということも言えます。
ただこれらの学校の「募集作戦」がかなり露骨だな、
という印象を受けます。
確かに都内では午後入試で上位受験生を集めることをきっかけに進路実績を
伸ばしている学校もありますが、埼玉では同じパターンで成功しているケースは
見当たらないからです。
もし仮に1/10PM入試合格者のうち、わずかな入学者でもしっかり伸ばして、
大学合格実績につなげている、という事実があるのかもしれませんが、
あったとしてもそれは表面化しません。キタシロ的にはそれこそ、
中学受験時の偏差値が高いから、難関大学にも合格するという短絡では、
その学校が生徒を伸ばしているとはいえません。
一般クラス・普通クラスでも、一定以上の意欲のある生徒で結果が出てこない以上、
実は期待できないのでは?と思うからです。
2017年入試では前記の1/10午前入試校3校の実受験者数を100とすると、
リストアップした1/10午後入試校12校の合計受験者数は35前後。
そして1校を除いてすべて1倍台の低倍率入試。
除いた1校もスライド合格分を加えると1.4倍を切る数字。
もし仮に埼玉県内の中高一貫に進みたい、1日も早く入試を終えたい、
にしても、午後入試受験比率は案外高い気がします。
これはもしかしたら塾の誘導かもしれませんね。
まずは進路実績で健闘して、受験生の注目を集める、という手順が
いかに実現しがたいか、ということなのだと思います。
リストの12校の実際1/10午後入試に集めている人数を確認してみると
埼玉の私立中高一貫の低調も理解できる、そんな数字でした。
果たして2018年度入試はこの傾向が続くかどうか。
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2017-12-28 Thu
学校の勉強って、将来何の役に立つんだろう…。誰でも一度は通る道なのではないでしょうか。
わが子がそう思ったときに、保護者としてどうリアクションすれば、
いいのでしょうか。
間違いなく道は分かれます。
スポーツにせよ、芸術にせよ、世界で通用する人材になるためには、
とりあえず英語は必須でしょう。
じゃあ、数学や歴史は将来社会に出たとき役に立たない?
保護者が実感としてそう思っていれば、
「つべこべ言わずに宿題を早くやりなさい」
などと言っても。子どもは見透かしてしまいます。
未知のことを学んで理解することの楽しさや、
その学ぶ手法や工夫、アプローチを身につけることこそが
将来役立つ、と保護者が実感していない場合は、
子どもは心の中で不本意だと思いながらも苦行に励むことになります。
いやだいやだと思っていると、身につくものも身につきません。
いつの時代も「東大出身者が書いた勉強法」みたいな企画は
成立しているようですが、そんな勉強法の本を読んで、東京大学に
見事合格した、なんて人はいったい何人いるんでしょうか。
まだまだ世間は東大=頭がいいというイメージで見ているようですが、
あくまでそれは多くの知識を蓄積し、それを瞬時に運用できる、といった
能力に対しての評価ではないかと思います。
このごろ東大現役クイズ王…みたいな番組が見かけますが、
キタシロが注目するのはその知識の絞り込みの手順です。
いわばヤマのかけ方、出題に対する読み。
知識勝負だけのクイズ番組では一般芸能人では
クイズ好きの東大生には歯が立ちませんから、
出題形式など巧みにバランスをとって、
エンタテイメントが成立しているなあ、と見ています。
ところで以前ここでも暗記のコツを書いたことがありますが、
面白いと思わなければ、丸暗記は長続きしないものです。
先日も大政奉還150年をとっかかりにした歴史番組を
見ていましたが、自分も受験生当時は、
尊王攘夷、公武合体みたいな単語をさっぱり理解せずに
丸暗記していたものだ、と改めて思いました。
長いことこの2つを「対立概念」だと思っていたほどです。
時代背景を理解していないばかりか、歴史用語の違いが
なかなか理解できないわけです。(笑)
大学は浅い知識でも通用する世界史で受験してましたが。
入試のための勉強はあくまで出題範囲で短期間インプットしておけば、
済む事柄ばかりのようですが、後々の人生で
なるほどそういうことだったのか、という場面は限りなく訪れます。
学校の勉強なんか将来の役に立たない、ではなく
将来何がどう役に立つのかわからない、であって、
中には役に立たない事柄もなくはない、ということかなと。
それってたまたま自分が大人になってその分野に足を踏み入れなかっただけ
ではないでしょうか。
恐いのはそうした保護者の価値観が子どもに「強制」されることのほうの
ような気がします。
その意味で中高一貫校では一般公立中よりは、多彩な出会いがあり、
視野を広げるチャンスが大きい、
とそういうことだと思います。
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2017-12-26 Tue
記事のアクセス状況を見守っていると気休めでもいいから、出願速報の情報が欲しい…
なんて気持ちもわからなくはないですが…。
というか、単なる興味本位かもしれませんね。
ネットってそこんとこのジャッジが難しい。
まあ、このブログは
かくかくしかじかの事情で「こういう情報は使えない、不正確」
という意見も積極的に発信するわけですけどね。
あくまで、次年度以降の受験生に関心を持ってほしい。
出願締め切りまであと数週間で迷うのは禁物。
そういう方向に持っていきたいものです。
裏返せば、この時期に受験情報ブログは読まないほうが
精神状態に良いと思うほどです。
わが子の受験をものすごく客観的に判断できている保護者は別ですが。
それよりも、小5の保護者には少なくとも1年は前から
直前どんなことが起こり得るか、想定しておいていただきたい。
ということで、東京・神奈川よりも先に入試が始まる、
埼玉・千葉の入試の話題をやや重点的に。
トップ校の進路状況はすでに無料版で紹介しましたが、
1都3県TOP100前後の学校まで、もう少し範囲を広げて
ピックアップしようかなと思います。
記事リンク
(千葉)進路実績チャート・サンプル比較・渋谷幕張編(1)
→麻布・渋谷教育学園渋谷と比較
(千葉)進路実績チャート・サンプル比較・渋谷幕張編(2)
→市川・東邦大東邦と比較
(埼玉)進路実績チャート・サンプル比較・栄東(埼玉男子)編
→開智・江戸川学園取手*・城北埼玉*・西武学園文理*と比較
(埼玉)進路実績チャート・サンプル比較・浦和明の星女子編(1)
→桜蔭・女子学院と比較
(埼玉)進路実績チャート・サンプル比較・浦和明の星女子編(2)
→淑徳与野・栄東と比較
*はチャートのみで比較
ただ1/10から入試がスタートする埼玉は、すでに夏~秋の
ブログでも強調したように、いい意味での注目校がなかなか見つかりません。
7年間の総合値平均で1都3県のTOP100には、
男子校×1、女子校×2、共学校×3と6校ランクインしているものの、
2017年単年実績ではこのうちの3校がTOP100から落ちています。
1都3県全体でも2017年実績が伸び悩んでいる学校が多いとはいえ、
強くブレーキがかかっている印象はぬぐえません。
「埼玉県内校の中学入試」としては、中長期的な問題が
潜在しているように見えます。
埼玉の私立中学は、都内からも多く受験に訪れ、
総受験者数では人気低下の傾向は見られませんが、
その3割を占めるのが栄東で1強とも言える状態で、
アンバランスな状況が続いています。
進路実績も学校同士の切磋琢磨があってこそ、という気もしますが、
2017年単年実績(総合値)で見るなら1都3県TOP40に1校もランクインしていないのは
危機的な状況かもしれません。
そんな中で総合値7年間平均では、ほんのわずかTOP100に届かなかったものの、
健闘を見せている学校が大宮開成です。


↑大宮開成は総合値TOP100圏外のため、総合値は0ポイント、他の要素はTOP100圏内校の値に相当するポイントとしてチャート作成
何度か「伸長度」においては注目、ということで本ブログでも取り上げていますが、
「あくまでも参考」の出願速報によれば(笑)、順調に推移しているようですから、
ようやく評価が定まってきたと言ったところでしょうか。
昨年の総受験者数は県内6位のポジションで、2018年はさらに増加傾向とするなら、
西武学園文理にすでに追いついて
埼玉共学校TOP3の座に手が届きつつある、ということかもしれません。
推移グラフは
(埼玉)進路実績チャート・サンプル比較・栄東(埼玉男子)編
→開智・江戸川学園取手*・城北埼玉*・西武学園文理*と比較
を参照ください。
実績チャートを重ねあわせるとこのようになります。



栄東、開智とはまだ大きな差がありますが、女子校ナンバー2の淑徳与野とは
こんな比較チャートになり、それほど差がないようです。
気にかけておきたい学校、ということは間違いないと思います。
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