2016-07-20 Wed
というわけで偏差値に躍らされる…はこのPART5で終了します。痛快というか、爆笑だったのは会場テストを主催していない一出版社に、
偏差値もしくは学校の序列をたずねてくるポンコツメディア(新聞・雑誌)が
存在したことです。二流大学、三流大学の担当者ならまだしも、
マスメディアの一角を担う人々も驚くほど偏差値のしくみについて知りませんでした。
キタシロはどっちかといわなくても、集計&分析マニアですが、
偏差値を捏造するほど数字好きではありません。
ただ例えば日頃集計分析している、進路実績を強引に偏差値に置き換えるとして、
それが商品として成立するなら、その誘惑には勝てない可能性があります。
もちろん冗談ですよ。
こうまで偏差値至上主義がはびこると、こんなくだらないジョークのひとつも
飛ばしたくなるわけです。
最後にある年の話を書きます。
三大模試のどの会社かは明かしませんが、某有名大学の付属校の偏差値が
記載されていなかったことがありました。決して定員割れしている学校ではないにも
かかわらず、です。
理由はガチでその模試で希望者がいなかったらしいのです。
1都3県受験生のシェアの30%を確保していてもそういう事態が起こるのです。
各々の会場テストには強いエリア、強い学校が存在します。
もうひとつエピソード。
三大模試のとある会社はどんな定員割れ校も丁寧に偏差値を算出しています。
競争率1.0倍、全入の学校に偏差値は必要でしょうか?
それは学校側から「リストに本校がないことは悲しすぎる。
これでは受験生の選択肢に入る可能性すらゼロではないか」と懇願されるからです。
そしてそういう苦境の学校ほど、広報活動において、業界各社と
強い関係を結ぼうとします。
また三大模試の別の会社は確かに競争が起こっている学校と、ほぼ全入だが、
志望者はいる学校の間でおおきな偏差値差が発生しています。ほんとうに
志望者データのとれない学校の偏差値は「算出不能」とはっきりした
態度をとっていたと記憶しています。
確かにリストに載ることには意味があるかもしれませんが、
あまりに他校に大きく引き離された数字で掲載されるのは
逆効果という気もします。
その会社はこうして「公平性のアピール」を怠りません。
それでも中学入試において、偏差値は必要なものなのでしょう。
もしそうなら、ちゃんとその運用のしかたを理解しておかないと、
ほんとうに入学したい学校にたどり着けないという危険性を
感じる、というそういう話です。
偏差値バナシ、かなり長くなりました。
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2016-07-18 Mon
ここまで言ってしまうと、邪推もかなり度が過ぎているという意見をいただきそうですが、偏差値は合否を占うツールであることは
間違いないとしても、これを武器にビジネスも展開されていることも
また確かだと言えるでしょう。
消費者が求めるものを提供して成立しているだけなら、さほど気になりませんが、
多くの保護者が偏差値に躍らされているとするなら、このエピソードも
紹介しなくてはいけないでしょう。
合格可能性のラインを20%50%80%と3本引く考え方は合理的だと思いますし、
一定数の受験生を集める会場テストでは偏差値は指標として機能するでしょう。
ただ数千人規模の塾生を抱える業界で4、5番手の塾が独自の偏差値を
算出してきたらどうでしょうか。その塾は3本のラインを40%60%80%と引きました。
理論上何%の位置にでもラインは引けますが、なぜこう設定したのかという理由は
ライバル他社の偏差値を利用したくないから、に過ぎません。どんなに母集団が
少なくても、塾生の全体レベルがどの程度かを客観的に把握さえすれば、
50%ラインをスライドさせ、偏差値に置き換えることは難しくないはずです。
高校受験の大手では利用者が少ないエリアでは、その地域に強いテスト業者の算出する
偏差値を参考にしたうえで、公表していました。
ですからやろうと思えば、四谷大塚、日能研、首都圏模試、SAPIXの総合偏差値を
算出することは可能なわけです。
でもこれにどんな意味があるでしょうか?
「偏差値はあくまでめやすです」
「偏差値は学校の序列ではありません」
この2つは偏差値に関する、よく見る注意書きですが、
こう書いてさえおけば、あとは自由、という裏返しのような気もしてきます。
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2016-07-17 Sun
(独自ドメインでPART3から再開しました。数日遅れですが、シンクロする原則なので、遅れつつ、同内容でPART5まで。先を知りたい方は独自ドメインでお読みください)
脱線期間が長くてPART3で書こうとしていた内容をすっかり忘れてしまいました。
というのはウソですが、80%偏差値の話から続きです。
定義としてはこの80%偏差値はその偏差値の受験生が5人いたら4人合格するライン、
ということになってますが、そんなものが実際に事前にわかるのでしょうか?
いや、わかるのでしょうかと言ったところで80%偏差値なるものは実在しています。
これなんですが、実は入試が終わった後に会場テスト参加者に事後調査をするわけです。
合格した中学と合格しなかった中学を質問します。参加者はほとんど進学塾経由ですから、
これでその受験生の持ち偏差値と合格不合格の相関関係がわかるわけです。
それを翌年のデータに当てはめてライン設定をしているわけです。
ですから真ん中50%のラインさえわかれば、上も下も3~5の範囲で切ればいい。
少数激戦系なら3、ピンキリ系なら5。
人気が上昇している中学ならちょっと色をつけて範囲を狭くしておく。
この50%が狂ってしまえば、全部がガタガタになりますから、前回公表のものから
大きく動かすことはしません。どんなに激動でも同じ年度の会場テストで2も3も
上下することはないわけです。逆にラインが激しく動いてしまうと、
このテスト大丈夫?偏差値は信頼できるの?となってしまうので、結局前回発表のものを
微調整ということになります。
大切なのはいわゆる結果偏差値。いわば事前の会場テストで設定したライン通りに
合否が決まったかどうか、入試直前での予想外の動きはなかったかどうか。
この際、とんでもない低い偏差値の受験生が合格しようが、高い偏差値の受験生が
不合格になろうが、まったくといっていいほど関係ありません。
早い話が、合格者の平均偏差値を50%として最小で上下に3ラインを切るだけです。
平均偏差値が53.5だったら53とするか54とするかは長年のエキスパートが職人技で
決定しているということになります。
50-53-56と50-54-58ではだいぶ印象が違うと思うんですが、
そこまで気にする保護者はいないと思います。
だって56なの?58なの?で一喜一憂するんでしょうから。
そうでした。面白いエピソードを思い出しました。
年度内に数回行われる会場テストの偏差値を予想偏差値、入試が終わってからの
検証を結果偏差値、ながらくこう思い込んでいたんですが、あるとき
会場テストの担当者から「予想偏差値」という表現はやめてほしいと言われました。
なぜなら「予想はしていないから」
つまり10月か11月か12月かわかりませんが、この会場テストと同じシチュエーションで
本番入試が行われたらこうなる、という偏差値だかららしいのです。
この会場テストと同じシチュエーションで本番入試が行われる?
まさにこれが偏差値マジックそのものでしょう。
これもある期間、予想偏差値は不正確で、結果偏差値ほど正確だと思い込んでいた
こともありました。受験案内本には結果偏差値が公表されるのを待ってから
掲載しよう…。
これもうまく行きませんでしたね。締め切りが間に合わないことがひとつ。
もうひとつは結果偏差値はあくまで結果であって、次年度の初回の会場テストでは
再びリセットされてしまうケースがあるからです。
つまりは予想外にやさしかった、という「結果」が出た翌年度のその中学には
志望者が殺到するから、です。で、翌年も人気になり、最終局面で回避して、
再び結果偏差値は元の木阿弥。
まあ、以前のようにそういったアナウンス効果も効かなくなってきたようにも、
思いますが、ここ数年でぐんぐん偏差値を上げている学校がどのぐらいあるかを
調べるとその構造がわかると思います。
注目されずにだいぶ下がってしまった学校はいくつもあると思いますけどね。
それは注目されないので(笑)
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2016-07-09 Sat
さて、中学受験の偏差値…。高校受験とは違い内申、調査書の要素はなく、
試験イッパツ勝負です。
一部で面接を実施する私立中学もありますが、そこで合否の明暗が
分かれることはまずありません。
じゃあ、事前の会場テストの偏差値が合格可能性を反映しているかと
いえば、これも高校入試同様、気休めとは言わないまでも
何とも言えない基準なのです。
会場テストの大手、首都圏模試センター・四谷大塚では合格可能性20%、50%、80%の
3つのラインが公表されます。日能研の場合も同様に80%、50%の偏差値が公表されます。
高校入試の場合と同じく80%偏差値をクリアしていても、実際の入試で不合格になる
場合もあります。50%ライン、20%ラインでも合格する場合があります。
なぜでしょうか?
問題が違うからです。
志望校の出題傾向をふまえて対策を立てている受験生と、
単に会場テストがよくできる受験生が一致するかと言えば…。
もちろんそれだけではありません。
実力の似通った受験生が集中するタイプの学校と、受験生の学力に差があるタイプの
学校では合格者の偏差値幅が違ってきます。
少数激戦の入試がある一方で、少数で実力差のある入試もあり、
受験者数が多いのでピンキリの入試もあるわけです。
それが偏差値幅の20%ライン、50%ライン、80%ラインに反映してきます。
まあ、ここまではこれまでもブログに書いた基礎知識編です。
20%→80%の数値の差は最小で6であり、最大の学校は10を超えている場合もありましたが、
最近では6という学校は少なくなり、8、9が多くなりました。
いったい偏差値にどういう変化が起こったのでしょうか?
もう少し前段階を説明する必要がありそうです。
あと数回、両ブログで同内容展開にします。
それぞれで進度もあわせつつ、落とし込みたい方向性は、
「偏差値の過大評価、過小評価はあるのか?」という意識のギャップへ進める予定です。
過大評価の学校を「いい学校」と思い込む、
過小評価の学校を「志望する価値がさほどない」とカンチガイする。
それこそ、最初に書いた某社の営業スタッフが○流大学の担当者に序列を知りたい、
と要望された「陳腐な内容」そのものだと思ってます。
とはいえ、偏差値で10も15も過大評価ということはないと思うのですが、
最終的には数値的な解析も試みようと思ってます。
それにしても読み手の皆さんのリアクションから
「他人の不幸は蜜の味」感が漂っていますが、明日は我が身、は
忘れないでいてくださいね?
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2016-07-07 Thu
予告した通りですが、これを先に書いておかないと…あくまでキタシロの主観ですが、
一定数偏差値信奉者がいます。
信奉者はいくら説いても真実を理解しないような気もちょっとしますが、
もし仮に信奉者の自覚がないとするならこんな記事は興味深く読んでもらえるかもしれません。
偏差値に対して幻滅する話。
偏差値はですね、割とテキトーですよ。
模擬試験の主宰会社では過去のデータから職人的に「設定」していることもままあります。
これを書いてしまうデメリットを考えると、会場テストの営業妨害?って気もしますが、
偏差値そのもの以外にも会場テストのメリットはたくさんありますから、
不正確な偏差値なら会場テストは受けない!と保護者が発想したとすれば、
そっちのほうが低レベルなんじゃないかな、と思ってます。
きょうの実例は高校入試、特に公立高校入試のケースです。
公立高校入試の模擬テストって、ほぼ都県別でとてもとてもローカルです。
偏差値に全国基準はありません。
前いた会社の営業スタッフに、何度説いてもそれが理解できない人間がいましたね。
二流大学が高校のデータを集めたいから、学校のランキング表を持ってこい、みたいな
ことを言われて、そのたびに説明するのが億劫でした。
高校ランキングを知りたい時点で、二流大学をカミングアウトしているようなものですが。
公立高校入試は都道府県によって選抜形式は違いますが、試験一発勝負のところは
ほとんどありません。内申書(調査書)がそれなりに評価されます。
この評価の比率も学校によってまちまちなのが一般的で、場合によっては、定員を分割して
評価の比重を変えていることもありますね。
さて、会場テスト、模擬試験。内申点(調査書点)はテストできませんよね。
つまり入試の4~7割を占める学力検査点で判定を出します。
すると合格可能性60%ラインが偏差値59なんて話になります。
偏差値59の受験生のうち、4割は不合格になる、そういうわけです。
じゃあ、安心できるラインはどのあたりか。
合格可能性80%ラインは偏差値63。
ちょっとちょっと63でも2割は不合格?
実際65でも不合格者はでます。
55でも合格者はでます。55なら8割は不合格かもしれませんが。
それでも偏差値を信じるか、という話です。
学校の格付け、ランキングのために偏差値を使うのか?
ということです。
まあ、理解しなかったですが、その営業スタッフに言ったのは、
学校の格付けは入り口じゃなくて出口だよ。でした。
進路実績、難関大合格率を見れば進学力は一目瞭然です。
でも大学の担当者が偏差値ランキング表は持ってないのか?
という要望ですから、営業スタッフの耳には入りません。
まったくもって、どれだけの偏差値なら安全に合格できるかなんて、
会場テスト「では」わからないのです。
当然ですが、学力検査の結果で調査書点を逆転できる学校、逆転が難しい
学校が公立高校入試では存在しています。
その理由は「一発勝負ではかわいそう」なのだそうです。
もし調査書点に先生の主観が満ち満ちているなら、すでに持ち点が足りない
受験生のほうがかわいそうな気もします。
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