2018-01-25 Thu
簡単に言ってしまえば、進路実績が伸びて注目度が上がり、受験生が増加して、入試が難しくなる。
これが非常にわかりやすいパターン。
キタシロ的には、より上位の受験生を獲得しようと、
あの手この手の工夫をすることより、
いま在籍している生徒をしっかり伸ばすべき、
と考えるわけですが、学校の立場に立つと
「それができたら苦労はしない」
といったところでしょう。
理想論ですが、簡単にはできずとも進路実績を伸ばす努力と
並行して、上位の受験生に振り向いてもらう入試の工夫を
続ける。
ただ入試は毎年毎年。その学校の教育の本質と
リンクしなければ、入試改革は形骸化し、出願者増、
受験者数増が目的化してしまうような気がします。
ことしの埼玉入試を見て、あれ?前からそうだっけ?
と思った数字がありました。
浦和明の星女子、淑徳与野の女子校2校が前年並みの出願者数でしたが、
共学校の栄東、開智は出願者数が増えました。
そのまま受け取れば、女子の共学化志向が強まっている、
と結論付けられそうに見えますが、そう簡単ではありません。
手もとに2013-2015と2016-2018の両校の中学生徒数のデータがあります。
栄東は前者が56.5%、後者が59.6%。
開智が59.7%、59.5%。
両校は元来男子の比率が高い。
さて、ことしの入試を見てみると、合格者比率で
栄東1/10難関クラスは64.3%、1/11東大選抜クラスは85.6%。
開智1/10一貫クラスは57.7%、1/15先端Aは74.1%。
1/11先端特待は71.9%。
合格者ベースでは男子のほうが多い。上位クラスほど
そのようです。
ということは合格しても男子は辞退者が多いということが
わかります。
では、それを見越して合格者を多く発表しているのか?
でもあくまで前年データですが結果偏差値上は男女差は
ありませんから、
そこで女子の共学化志向が強まっている、と分析しても
さっぱり重みがないのでは?と思うわけです。
首都圏中学入試の動向を
「ことしも前年通り」とするのはまったくもって芸が
ないとも思いますが、コアな部分はある程度は不変で、
周辺の浮動層の「動向」が数字を動かしている、
そんなことも思います。
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2018-01-22 Mon
1/10スタートの埼玉入試に引き続き、1/20には千葉でも中学入試がスタートしました。
まあ出願者数を見る限り、昨年と比較して大きな変動はないようですね。
あくまでも出願者ベースなので注意深く数字を見たいところですが、
市川107%、渋谷幕張105%、東邦大東邦99%、昭和学院秀英106%…
いずれも初回入試(もしくは午前入試初回)ですが
この中で出願者数が減ったのは東邦大東邦の女子だけ。
上位校の人気は安定しています。
埼玉入試の出願者数を紹介してなかったので、
ここであわせて見てみます。
栄東109%、開智118%、浦和明の星女子100%、淑徳与野100%…。
(すべて初回入試での比較)
しいていうなら女子校不人気。
共学校人気というよりは女子校不人気と見ます。
これは神奈川でも似たような傾向が見られています。
ただし、埼玉・千葉の場合はこれで
そのまま第一志望者が増えたとは言い切れません。
受験生側が併願する学校を絞り込んだとも言えるからです。
いずれにせよ例年にも増して人気校・不人気校の二極化が進み、
そして総受験者数が多い学校の中にも、入試回数を増やすことで
実際には第一志望率が低い学校も混在するものと思われます。
気になるのは競争倍率かもしれませんが、こうした学校ほど、
合格者数を絞り込むことにはリスクを感じているはず。
特に埼玉・千葉の学校は募集定員:合格者数の値の変化も
チェックしてみたいところです。
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2018-01-16 Tue
いま話題になっている「センター試験に何故かムーミン」事件。まあ、いろんな角度から分析することができるわけですが…。
ある意味、どうでもいいことで「炎上」するいまどきの
つぶやき事情、ネット事情を反映しているいっぽうで、
たかが入試問題で大騒ぎしちゃって…というのも正直なところ。
もちろん出題が不適切、というのであれば採点から除外すれば
いいわけで、センター試験ともあろうものが不適切な出題なんて、
言語道断、何たる不祥事…ということも可能です。
トーベ・ヤンソン作のムーミンという作品の舞台は、
フィンランドではなく架空のムーミン谷、ということで
いくら論争しても始まりません。
たぶん出題者は、ノルウェー語とフィンランド語では「語族」が
違うということも絡めて出題したかったのでしょう。
近接したスカンジナビア諸国にあっても、異なる民族構成で異なる国家が
形成されていることに思い至れば、
地理B履修者としてトーベ・ヤンソン→フィンランドから相違に気づくことは
容易いと思うわけです。
そういえばキタシロも北欧→ラップランド→サンタクロースの故郷…
なんて連想しましたが。
かといってサンタクロース=フィンランドではなく、入試問題として
出題するにはいくつかの微妙なハードルはあるような気がしますが、
連想的なクイズと思えば、まず民族的背景と語族という知識がなかったが
ために正しく運用できなかった、というだけの話と思うわけです。
というわけで、
「なんでセンター試験にムーミンが出るんだよ!」という
無知なる嘆きと
「ムーミンの舞台はフィンランドではなくムーミン谷」という理屈の
間にはけっこうギャップがあるのかも。
またヴァイキング=ノルウェーと断言していいのか、という問題も
同様なれど、現代日本でバイキング=食べ放題で通用しているわけだから、
その語源を少しだけ聞きかじっていても損はあるまい。
題意を汲み取り、確率の高そうな解答を見極める力が必要なのは、
出題形式が変わろうと、今も昔も変わらないし、
この例を「思考力重視」などと見なすのは陳腐。
さて、今回の件で思い出したひとつめは
「東京キッド」の件。確か90年代の公立高校入試問題だったと記憶しますが、
戦災孤児の写真を提示して、
右のポッケにゃ○がある、左のポッケにゃ○○○…
どっちの○が出題されたか忘れてしまいましたが、戦争を知らない中学生に
美空ひばりの歌詞を連想せよ、という出題がとても思考力・表現力を見る問題
とは思えないと違和感を覚えた記憶がある。
こうして時折入試問題に「世代ギャップ」が登場して話題をさらう…。
思い出したふたつめは、このブログでも一度取り上げた、鴎友学園の社会科で
出題された「アフリカ分割」の問題。
小学校では習わないヨーロッパ列強によるアフリカ分割の歴史を
「国境線が直線なのは自然国境ではなく人為的なものである」と気づかせよう
する良問だったと記憶しています。
ただしこれも全受験生が未履修という前提なら思考力を試すと言えるかもしれないが、
知識として「国境の決め方」を知っていれば、思考力を問う問題にはならない。
結局、いつの時代も入試問題に不条理性は潜んでいるようです。
知識を問う問題から、思考力・運用力・表現力を問う方向へ
シフトしようとするなら、迅速かつ公平な採点に支障をきたす、
という構造になっているとも言えそうです。
ということは、多くの学校が入試日翌日に合否を発表する中学入試って?
まあ、そこをつつくのも野暮というものでしょうかね。
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